2022/08/09

米国eHealthジャーナル第70号

BiogenとHappifyがデジタル・セラピューティクスの検証で提携

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多発性硬化症患者のウェルビーイングを支援するデジタル疾病管理プログラム

米バイオテク大手のBiogenは6月22日、多発性硬化症(MS)患者のウェルビーイングを支援するデジタル・ソリューションの検証を目的として、デジタル・セラピューティクス(DTx)企業のHappify Health(以下、Happify)と提携したと発表した。ニューヨーク州ニューヨークを拠点とするHappifyは、消費者向け(DTC)のウェルネスアプリの開発で知られる企業だが、近年では処方箋DTxの開発に力を入れており、複数の大手製薬企業と提携関係にある。

合意の下、BiogenとHappifyは「Kopa」と呼ばれるHappifyのデジタル疾病管理プログラムが、MS患者の生活の支援に役立つかどうかを検証する。Biogenは、MS治療薬ポートフォリオを主力製品としており、同社のトップセラー医薬品である「Tecfidera」をはじめ、「Tysabri」、「Avonex」、「Plegridy」、「Vumerity」など、年商10億ドル以上のブロックバスター医薬品を含むMSを適応症とした複数の医薬品を擁している。

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出典:Shutterstock

Kopaは、Happifyが2020年6月にリリースした慢性疾患患者支援のためのケアデリバリー・プラットフォームで、モバイルアプリもしくはウェブアプリを介してアクセスする。当初は乾癬患者を対象として提供が開始されたが、現在では妊婦、更年期前後の女性、MS患者にも対象を広げている。

Kopaは、患者コミュニティ、医療プロバイダーとのコミュニケーション、教育リソースなどで構成されている。患者同士をつなぐコミュニティは、疾病に関連する個人的な経験やアドバイスの共有などを通じて双方の患者を支援する機能を果たす。また、アプリを介して医師とつながることにより、治療面での専門的アドバイスや疾病に関する最新の情報を得ることが可能だ。この提携でBiogenは、MS患者向けのKopaの教育コンテンツや、ケア関連のリソースをさらに充実させるために Happifyと協力する。

Biogenは5月にも、MS患者の歩行障害を治療する処方箋DTxの開発と商業化でDTx企業のMedRhythmsと提携している。マサチューセッツ州ボストン拠点のMedRhythms は、「リズムによる聴覚刺激(Rhythmic Auditory Stimulation)」を取り入れた神経学的音楽療法と呼ばれる治療的技法を基盤とするDTxを開発している。神経学的音楽療法とは、音楽に合わせて歩行練習などを行い、動作パターンを安定させる訓練を行うもので、通常は専門のセラピストによって実施される。

MedRhythmsのDTxでは、センサーが音楽に合わせて患者がどのように歩行したかを追跡し、セラピストに代わって人工知能(AI)が自動的に音楽やテンポを変更し、臨床アウトカムの改善を目指す仕組みになっている。

(了)


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