2022/10/11

米国eHealthジャーナル第74号

中国バイオテク企業のBeiGeneがRWE活用でOntadaと提携

BeiGene, 患者データ・疾病リスク分析, ジャーナル第74号, 提携, 悪性新生物(癌), Ontada

米国癌コミュニティに新薬の価値を啓蒙

中国のバイオテク企業BeiGeneは8月15日、リアルワールド・エビデンス(RWE)を活用して米国の癌治療コミュニティにおける新規治療薬への患者アクセスの改善を目指す目的で、癌分野におけるデータ科学と洞察の提供に特化するOntadaと戦略的提携に至ったと発表した。

Ontadaは、米医薬品卸大手McKessonの子会社である。McKessonは、癌患者のアウトカム改善をけん引んするイノベーションやエビデンス生成を支援する目的でOntadaを2020年12月に設立した。Ontadaは、RWD研究におけるMcKessonの専門性と、癌専用の電子医療記録(EHR)である「iKnowMed」やレジメン・サポートツールの「Clear Value Plus」をはじめとする癌専門医向けの一連の技術を組み合わせることで、癌治療の変革を目指している。「iKnowMed」は、McKesson傘下の癌専門医ネットワークで1,400人以上の開業医で構成されるUS Oncology NetworkからOntadaが引き継いだ技術。癌患者のユニークなニーズに対応できるよう、癌専門医によって開発されたEHRシステムだ。Ontadaは現在、RWD研究に使用可能な200万人以上の癌患者の記録から得た洞察を所有する。

BeiGeneとの合意の下Ontadaは、RWEの構築と活用を主導し、新規癌治療薬の経済的影響や患者アクセス改善について、患者や医療従事者、ペイヤーを含む癌治療コミュニティを教育する取り組みを加速する。また、OntadaとBeiGeneは新薬を手の届く価格で迅速に患者に届けるため、規制上の意思決定におけるRWE活用を推進することでも協力する。

中国で多数の癌治療薬を販売するBeiGeneは、米国ではブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤のBrukinsa(一般名zanubrutinib)が2019年に迅速承認を受けている。2023年以降は自社開発と提携によるものを合わせ、毎年10種類の分子を上市することを目標としている。一方でFDAは2022年に入り、中国のみ、あるいはほぼ中国でのみ実施された臨床試験のデータに基づく医薬品承認申請の増加傾向を懸念し、国際共同治験(multiregional clinical trials、MRCT)の実施を求める審査完了通知(CRL)を繰り返し出している。こうした中でBeiGeneは、RWEに基づく自社製品の価値を米国で広く認知させる狙いがあると考えられる。


出典:BeiGene

Ontadaは現在、US Oncology Networkに対して、価値に基づくケアやケア効率化の支援ツールとサービスを提供している。また、2021年8月には米製薬大手のMerckとRWD研究を促進する戦略的提携契約を締結した。Merckとの提携では、RWD研究を通じて癌分野における新規の科学的根拠の発見、新規治療法の開発、癌ケアの有効性を検証している。


出典:McKesson

(了)


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