2023/02/28
米国eHealthジャーナル第83号
デジタル・セラピューティクス企業のPear 、Spero Healthと提携
ジャーナル第83号, 提携, デジタルセラピューティクス, 物質使用障害, Pear Therapeutics
全米6州、99カ所の外来治療オフィスで処方箋DTxを提供
デジタル・セラピューティクス(DTx)開発企業のPear Therapeutics(以下、Pear)は1月4日、Spero Health(以下、Spero)との既存提携を拡大したと発表した。Speroは、オピオイド使用障害(OUD)や物質使用障害(SUD)などに罹患する患者を対象として、外来オフィスベースで依存症からの回復ケアを提供する米国最大規模の医療サービスプロバイダー。
マサチューセッツ州ボストンを拠点とするPearは、DTxのパイオニア企業として知られている。同社は、SUD患者の治療を適応として2017年9月にFDA承認を獲得した「reSET」、OUD患者による外来治療プログラム継続率の向上を目的に2018年12月にFDA承認を受けた「reSET-O」、慢性不眠症患者の治療を適応に2020年3月にFDA承認を受けた「Somryst」の3種類の処方箋DTxを販売している。また、2021年11月には、アルコール使用障害(AUD)を適応症として開発中の処方箋DTx候補、「reSET-A」について、FDAから画期的医療機器指定を獲得している。
Speroはこれまでにも、ケンタッキー州の外来治療オフィス14カ所において、reSETや reSET-Oのアクセスを患者に提供してきた。今回の提携拡大により、インディアナ州、ケンタッキー州、オハイオ州、テネシー州、ウエストバージニア州、バージニア州に擁する99カ所の外来治療オフィスでも新たにreSETと reSET-Oを提供するという。reSETとreSET-Oはいずれも、コミュニティ強化(community reinforcement)と呼ばれる認知行動療法(CBT)のアプローチを採用する、エビデンス基盤の治療的介入である。
Spero は、身体およびメンタルケアサービスを1つに統合した、エビデンスに基づく統合ケアモデルを活用するコミュニティベースのアプローチを採用しており、これまでに3万5,000人以上の患者の回復を支援してきた実績を持つ。SperoのCEO、Steve Priest氏は、「Speroは、薬物の過剰摂取の問題によって打ちのめされている地域社会に解決策をもたらす新技術を模索し続けている。Pearの技術により、医師はダッシュボードを通じて重要な患者データにアクセスすることができ、SUDやOUDの患者に質の高いケアを提供できるようになる。このアプローチによって、より良い治療アウトカムを達成できることを期待している」と話す。
Pearによると、全米では4,000万人以上がなんらかの依存症と闘っている。Pearによると、reSETやreSET-Oを必要とする患者のうち、治療を受けているのはその10~20%に過ぎない。Speroとの提携拡大は、これらの患者へのリーチを目標とするPearの取り組みを大きく後押しするものとなる。
(了)
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