疼痛管理にしばしば用いられるオピオイドは、全米で規制物質利用障害(SUD)を引き起こしている。公衆衛生の向上を掲げる連邦機関であるCDC(Centers for Disease Control and Prevention)によると、2017年だけでも7万237名がオピオイド過剰摂取で死亡している。
2018年10月には、米国で深刻な社会問題になっているオピオイド中毒の蔓延に歯止めをかけることを目的とする「Substance Use-Disorder Prevention that Promotes Opioid Recovery and Treatment for Patients and Communities Act」が近年ではめずらしく超党派合意により成立、向こう5年間に渡り16床以上の中毒治療施設における入院ケアへの連邦支出制限の一部撤廃や、メディケイドおよびメディケアにおけるSUD治療を目的としたテレヘルス利用の拡大などが定められた。しかしながら、官民での取り組みが行われているものの、オピオイド危機は以前として収束していない。重度の痛みを抱える患者において特に顕著にスコアを減少させたVRデバイスは、オピオイド危機問題解決の一助となる可能性がある。