2019/09/24

米国eHealthジャーナル 第4号

Henry Schein Medical、Uber Healthと提携

Uber Health, ジャーナル第04号, テレヘルス

 
 

MobileDoc 2によるテレヘルスサービスを拡大 

Henry Scheinの医療ビジネス子会社である
Henry Schein Medicalは7月29日、Medpodが提供する「MobileDoc 2」によるテレヘルスサービスの拡大を目的として、Uber Healthと提携したことを明らかにした。

Uber Healthは、オンデマンド型配車サービス大手のUberrが2018年3月にスタートした医療機関向けのHIPPA準拠の配車サービスで、病院や診療所、リハビリセンターなどの医療機関が、集中管理型の専用ダッシュボードで診察時間に合わせて事前に配車を予約し、患者やその介護者を送迎させる仕組み。一般ユーザーがUberを利用する際は、公式アプリをスマートフォンにダウンロードする必要があるが、Uber Healthでは、患者がスマートフォンを持っている必要はなく、テキストメッセージのほか、携帯電話や固定電話による通話で、担当ドライバーと連絡をとる。

MobileDoc 2は、機内持ち込み可能なサイズのケースに、体重計から血圧測定器、超音波診断機器、皮膚鏡、膣鏡、肺活量測定器など、医師による専門的な診断を可能にするさまざまな医療機器や検査器具を詰め込んだモバイル型テレヘルスプラットフォームで、遠隔からの診察や診断を可能にする。眼科、歯科、聴覚検診にも対応しており、病院や医師オフィスという従来的なケア・セッティングを超えて、自宅、オフィス、学校、救急車、老人ホームなどで様々な検査を実施できる。MobileDoc 2は2分でセッティングが可能で、電子医療記録(EHR)にシームレスに統合される。

 

Medpod MobileDoc

 (出典)Medpod


今回の提携により、MobileDocとその次世代製品MobileDoc 2を利用する医師は、Uber Healthを利用して、訓練を受けた看護師や医療アシスタントを患者の自宅に送ったり、遠隔診断を実施するための特定の臨床ケアセッティングに患者を移動させたりすることが出来るようになる。両社はまず、パイロットプログラムを開始する。

人口の高齢化に伴い、先進国はいずれも医療費を含む社会保障費の拡大という問題への対処を迫られている。各国のペイヤーは、提供された医療サービスや使用された医薬品の「量に応じた支払いモデル」から脱却し、医療のアウトカムによって償還額を決定する革新的な償還モデルを積極的に採用している。米国では、過去10年ほどの間に、主に入院や外来診療を対象として、「量に応じた(FFS)支払いモデル」から「価値に基づく(Value-based)支払いモデル」への変革が進んだ。

例えばヘルスケア改革法(PPACA、通称ObamaCare)によって設置されたメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)傘下のCMMI(CMS Innovation Center)は、公的医療保険制度の償還方法を価値に基づくものへと移行させるための各種イニシアチブを主導している。その代表的なものの1つがACO(Accountable Care Organizations)」である。患者のケアへの責任にフォーカスするACOのコンセプトは医療機関によってメディケア外でも積極的に取り入れられ、ACOは増加の一途を辿っている。

入院期間が短く設定されている米国では、退院後患者へのシームレスなケア提供は、医師がケアにおける責務を果たす上で重要となる。Medpodによると、場所を問わない医療サービス提供を可能にする同社の遠隔診療プラットフォームは、医療アウトカムによって償還額が決定される時代において、真に医師を支援するものとなる。

 

(了)

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