2019/10/08

米国eHealthジャーナル 第5号

NIH、All of Usの遺伝カウンセリング提供企業を選出

患者データ・疾病リスク分析, ジャーナル第05号, NIH

 
 

ヘルスケア技術開発のColorに460万ドルを供与 

国立衛生研究所(NIH)は8月21日、大規模観察研究プログラム、「All of Us Research Program(以下、All of Us)」における遺伝カウンセリングとそのための技術インフラ提供を担当する組織としてColor Genomics(以下、Color)を選出し、初期投資として460万ドルを供与したと発表した。

2018年5月に正式発足したAll of Usは、米国の多様性を反映した100万人以上の個人から健康関連のデータと生体試料を収集し、広範な研究用途への活用を目指す大規模プロジェクトである。研究期間は、最低10年とされており、最初の5年間で100万人の参加者達成を目指している。フォローアップは、参加者の生涯に及ぶ。All of Usは個別化医療に関する科学を進歩させ、すべての米国在住者がその恩恵を享受できるようにすることをミッションとして謳っている。

カリフォルニア州バーリンゲーム拠点のヘルスケア技術企業であるColorは、臨床用途の遺伝子検査および遺伝カウンセリングの実施を可能にするソフトウェアやデジタルツールを構築し、これまでに1万5,000件以上の遺伝カウンセリングを実施してきた。Colorは、All of Usでの遺伝カウンセリングのために、多言語の教育用資料や電話カウンセリングを提供するほか、参加者と医師との効果的な対話を支援する目的で臨床薬剤師や遺伝カウンセラーを確保する。

(出典)Color Genomics



 

プログラム参加者が提供した遺伝子のデータが意味することを、専門知識を持たない参加者でも誤解のないように分かりやすく伝え、医療上の判断に有効に役立てることができるよう、NIHは2018年11月に遺伝カウンセリングを担当する組織の募集を開始していた。

All of Usに参加する3つのゲノムセンターは現在、プログラム参加者のゲノタイピングや全ゲノム解析を数ヶ月以内に開始するための準備をしており、参加者は遺伝子解析結果を受け取るかどうかを決めることができる。最終的にプログラムでは、参加者の祖先の情報、医薬品と遺伝子の相互関係である薬理ゲノミクス情報、特定疾患のリスク関連遺伝子の有無についての情報などを提供できる体制にする。遺伝子情報を受け取った参加者は、Colorが提供する遺伝カウンセリングを利用することができる。

 

(了)


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