2019/11/26
米国eHealthジャーナル 第8号
Sandoz、DTxに関するPearとの共同販促契約を解消
ジャーナル第08号, デジタルセラピューティクス, Pear Therapeutics, Novartis, 提携
NovartisとのDTx共同開発は継続
ジェネリック薬の開発・販売に特化するNovartisの子会社Sandozと、デジタルセラピューティクス(DTx)の開発に特化するPear Therapeutics(以下、Pear)は10月15日、Pearが開発した2つの処方箋DTxの共同販促契約を解消し、今後はPearが単独でこれらを販売することで両社が合意したと発表した。
PearはDTx分野におけるパイオニア企業で、薬物あるいはアルコール中毒患者の治療を適応として2017年9月にFDA承認を獲得したDTxの「reSET」、およびオピオイド使用障害(OUD)患者による外来治療プログラム継続率の向上を目的に2018年12月にFDA承認を受けたDTxの「reSET-O」を持つ。
「reSET」と「reSET-O」はいずれもコミュニティ強化(community reinforcement)とよばれる認知行動療法を採用するスマートフォンアプリで、購入には医師の処方箋が必要となる。
Pear Therapeuticsによると、疾患治療を目的に処方箋が必要なDTxがFDA承認を獲得したのは「reSET」が初めて。「reSET」は、安全性リスクが低~中程度で、実質的に同等な製品が存在しない革新的医療機器に使用されるデノボ(de-novo)承認審査経路を利用して承認された。
510(k)申請経路により承認された「reSET-O」は、buprenorphineなどの治療薬や随伴性マネジメントとの組み合わせで使用される。随伴性マネジメントとは、望ましい行動変化に対し即座に報酬を与えることで、その行動の繰り返しを促す治療法。PearとSandozは2018年4月に、これらDTxの共同販促と製品売上の折半で合意していた。
SandozとPearの共同販促契約は当初、大手製薬企業とDTx企業の提携として注目されたが、わずか1年半で終了することとなった。なおSandozは、今回の決定についてコア事業に注力するためと説明。また、Pearは単独でDTxを販売する商業インフラをすでに構築しているという。
今回のPearとSandozの合意は、多発性硬化症(MS)患者におけるうつ症状の治療を適応とするDTx候補、Pear-006と、統合失調症治療用DTx候補、Pear-004の共同設計および臨床開発を目的として2018年3月に締結したNovartisとPearとの提携には何ら触れておらず、引き続き両社の合意は有効と考えられる。
Pearは2019年5月に、Pear-006についてフィージビリティ・スタディーを開始したと発表している。
(了)
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