2019/12/10

米国eHealthジャーナル 第9号

Beddr、デジタル睡眠ソリューションを雇用主向けに販売開始

ジャーナル第09号, 睡眠障害, ウェアラブル, デジタルセラピューティクス

ユーザー1人当たり最大で5700ドル

Beddrは10月22日、慢性睡眠障害の治療を目指す同社のデジタル睡眠ソリューションを、雇用主を対象として提供を開始すると発表した。


 (出典)Beddr

同社が開発した「SleepTuner」と呼ばれる睡眠センサーは、クラスII医療機器としてFDA承認を受け、2018年10月から149ドルで消費者直販(Direct to Consumer, DTC)されている。Beddrが今回新たに提供を開始するデジタル睡眠ソリューションは、同センサー由来のデータを受信して睡眠の質や傾向をトラッキングするコンパニオン・モバイルアプリ、および週ごとに実施される睡眠コーチ・セッションで構成される。

額に貼付して利用する切手サイズのSleepTunerは、血中酸素濃度や心拍数、脈拍、睡眠時姿勢、無呼吸イベントなどのデータを収集する。週ごとの睡眠コーチ・セッションでは、センサー・データに基づいて、質のよい睡眠のための習慣体得と睡眠の質の改善を促すテーラーメイドの「睡眠改善アクションプラン」が専門のコーチによって作成される。

ユーザーはまた、同セッションを通じて、睡眠障害の専門医や研究者らが開発した睡眠評価指標や教育コンテンツにアクセスできる。睡眠の質を低下させる生活習慣の改善にこれらを利用することが可能だ。
 

Beddrによると、従業員にBeddrのデジタル睡眠ソリューションを提供したい雇用主は、従業員1人当たり349ドルを支払う。この料金には4週間の睡眠コーチ・セッションが含まれる。ユーザーが睡眠コーチの利用を継続したい場合には、月ごとのサブスクリプションフィーを支払うこととなる。Beddrは、まず雇用主を対象に販売するが、将来的にはデジタル睡眠ソリューションの消費者直販も手掛ける計画だという。
 

様々なスリープ・トラッキングツール (出典)Beddr

Journal of Sleep Researchに発表された論文は、世界人口の45%が慢性的な睡眠の問題を抱えていることを指摘している。そして、カリフォルニア州サンタモニカのシンクタンク、RAND Corporationの調査によると、質の悪い睡眠によって米国の雇用主には毎年4,110億ドルもの損失がもたらされている。

Beddrによると、同社のデジタル睡眠ソリューションは、睡眠の質の改善を通じて従業員の生産性を向上させるとともに、医療費の削減と事故発生率の低下をもたらすことで、従業員1人当たり年間最大で5,700ドルのコスト削減を雇用主にもたらす。

(了)


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