2020/02/18
「米国製薬業界週報」
下院委、FDAの国外製造施設監視について聴聞会
「米国製薬業界週報」 2019年12月13日発行 第784号 より
発行人 MSA Partners LLC
GAOはFDA職員不足や国内外査察過程の非一貫性を指摘
下院エネルギー商業委員会の監視・調査小委員会は12月10日、米国外の医薬品製造施設に対するFDAの査察プログラムについて聴聞会を開催した。
FDAは医薬品の活性成分(API)の約80%と、最終製剤(FDF)の約40%が海外で製造されたものであると推測している。FDAは、米国で販売される全ての医薬品について、安全性と有効性を確認する責任がある。
米政府監査院(GAO)が同日付で発表した報告書によると、2012~2018会計年度のFDA査察データを分析した結果、2016~2018会計年度の間に査察件数が国外で10%、国内で13%減少していた。2018年に査察が行われた米国外施設の43%が中国とインドの施設であった。GAOの調査に対し、FDAは査察件数の減少の一因として、FDAの査察担当職員の不足を挙げた。
FDA査察担当者への聞き取り調査からは、国内施設の査察はほとんどの場合抜き打ち検査であるのに対し、米国外施設には最大12週間前に事前連絡をすることが多く、海外の製造施設は査察開始前に問題に対処できる機会があることなど、米国内外の施設の査察内容の同等性について疑問の声があがった。
聴聞会で証言したFDAの医薬品評価研究センター(CDER)ディレクターのジャネット・ウッドコック医学博士は、医薬品製造のグローバル化の高まりと、2012年成立のFDA安全と革新法(FDASIA)を受け、2015会計年度以降、FDAは査察の重点を国内施設から国外施設にシフトしていると説明。現在はリスクベースの査察アプローチを採用し、一定の基準に基づき、より高リスクの施設を優先的に査察していると述べた。
ウッドコック医学博士は、国外施設に事前連絡を行う理由として、査察担当者を米国から現地に派遣する前に、施設が開いていることを確実にするためと説明した。また、FDAが現在、製造施設の品質管理向上への投資を行なう製薬企業にインセンティブを与える評価システムの構築に取り組んでいることにも言及した。
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