2020/06/12

(寄稿)

米国のライフサイエンス業界におけるIP制度と運用 ー概要ー

はじめに 知財とライフサイエンス
知的財産(IP)――人の知的創造によりもたらされる財産価値のある情報――は現代ビジネス、特に“知”の刷新からなるライフサイエンスの分野において、その重要性は著しく大きくなるばかりです。そのため、ライフサイエンス分野で活躍するすべて企業にとって、IPは避けては通れない事項となっています。企業がIPを活用する上で、世界的に一定の統一性はありますが、IPの制度や運用は国ごとに異なるため、各国ごとに共通点と違いを理解し戦略を立てることが、大きなアドバンテージになります。
 

これから特集する米国については、IP制度や運用に影響を与えている要素として、米国が訴訟大国であることが挙げられます。米国はライフサイエンスIP関連に関わらず訴訟が多いことが知られていますが、裁判で出される数多くの判例により、何がIPとして認められるか、その価値はどのように保護されるのかが随時変わっていきますので、実務においても訴訟を念頭に置いて行う必要があります。
 
知的財産 (IP) とは
知的財産 Intellectual Propertyは、 Hard IPとSoft IPの大きく2つに分かれます。
Hard IP:
特許 (当連載で説明)
Soft IP:
著作権法、商標、営業秘密など
例: 薬のパッケージやマークはトレードマークとして保護されている。
   トレードマークにより、薬局で買う薬に信頼性が加わる。

注: それぞれのIPには違いはあるが、大まかな訴訟の影響における
   ダイナミズムという点では共通している。

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