2019/07/09
米国eHealthジャーナル試読版
音声分析AIでPTSD患者を同定
音声バイオマーカーを活用
音声分析AIを利用した心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者の同定に関する研究「Speech‐based markers for posttraumatic stress disorder in US veterans」が、4月22日付でJournal of Depression and Anxietyに発表された。
同研究には、イラク戦争もしくはアフガニスタン紛争において戦域任務についた男性の退役軍人129名が参加した。うち53名がPTSDの診断を受けている。薬物乱用障害や精神疾患を罹患する患者は試験から除外されている。
被験者はまず、PTSD面接尺度として各国で使用されているCAPS‐IV(Clinician Administered PTSD Scale)に基づき、研究者によるインタビューを受けた。録音されたインタビューはAIソフトウェアに送り込まれ、4万526件の音声バイオマーカーが生成された。
AIアルゴリズムは、その中から18の音声バイオマーカーを絞り込み、PTSDの症状がみられる被験者の同定を試みた。結果、AIアルゴリズムは89%の精度でPTSD患者を同定した。スピーチのパターンから生成された音声バイオマーカーの活用を目指すデジタルヘルス企業は数多く存在する。例えばマサチューセッツ州ボストン拠点のSonde Healthは、スピーチ・パターンの僅かな変化から、身体や精神の健康に関する洞察を引き出す音声ベースの技術を利用して、患者のモニタリングや診断を行うことを目指している。
同社は4月11日に、Merck KGaAの企業ベンチャー・キャピタル(VC)であるM Venturesが率いるシリーズA投資ラウンドにおいて1600万ドルを調達したと発表している。同投資ラウンドには、三菱田辺製薬の企業VCであるMP Healthcare Venture Managementも参加した。カナダのトロント拠点のWinterLight Labsは、AIを使った音声バイオマーカー測定に基づくスピーチベースの認知テストを開発している。
同社は、他のヘルスケアデータと組み合わせることで、認知機能低下リスクのある高齢者の同定を目指す。
(了)
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