2022/04/12

米国eHealthジャーナル第62号

Pfizer、AI基盤技術企業2社と提携

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イスラエル企業のCytoReasonとMITからスピンアウト企業のIterative

医薬品開発に機械学習(ML)技術を利用するイスラエル拠点のバイオテク・スタートアップ企業、CytoReasonは2月7日、米製薬大手Pfizerとの既存提携を拡大することでPfizerと合意に至ったことを明らかにした。PfizerとCytoReasonは2019年から提携関係にあり、Pfizerは新薬開発を目的とした免疫システムの理解向上に向けて、CytoReasonの「インシリコ細胞中心型モデル」を活用している。CytoReasonによると、同社のプラットフォームは、20種類超の疾患にまたがるPfizerの研究開発(R&D)プログラムにおいて、さまざまな洞察を提供してきた実績を持つ。

CytoReasonは、遺伝子発現データや特定の細胞に関連する遺伝子データの分析から導かれた新たな細胞情報をオミクスデータや文献データと統合し、各臨床試験の目的に応じた「免疫反応のコンピュテーショナル細胞基盤モデル」を作製することに特化している。これらの細胞基盤モデルは、研究に繰り返し利用される中で学習を重ね、改善されていく。同モデルの活用によって、より優れた標的の発見や、薬剤応答バイオマーカーの特定、医薬品候補の適応症の選択などが可能になるという。


出典:CytoReason

CytoReasonはPfizerから技術アクセス料、研究支援金、マイルストーン金の支払いを受ける可能性がある。金銭面でのその他詳細は公開されていない。

別件でPfizerは、消化器学に特化したAI基盤プレシジョン・メディシン企業のIterative Scopes(以下、Iterative)とデータ共有契約を締結した。Iterativeが2月8日に発表した。合意の下、Pfizerは自社で所有する炎症性腸疾患(IBD)臨床試験データベース1件へのアクセスをIterativeに提供し、Iterativeは独自の疾患重症度スコア・アルゴリズムの拡充にこれを役立てる。

マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするIterativeは、2017年にマサチューセッツ工科大学(MIT)からスピンアウトして設立された企業。同社はIBD治療に関する臨床試験の最適化支援を目的に、AIをベースとした精密医療を活用することを目指している。2022年1月には、消化器疾患臨床試験における被験者登録の最適化支援を目的に、米製薬大手Johnson & Johnsonの子会社であるJanssen Research & Developmentと提携したことを明らかにしたばかりだ。

Iterativeによると、IBD治療薬候補の臨床試験の被験者スクリーニングで現在使われている内視鏡検査の結果に基づく疾病重症度スコア・システムは、極めて主観的で医師の経験と洞察により評価が左右される。Iterativeでは、同社独自の計算アルゴリズムを拡充することにより、内視鏡画像解析の標準化と自動化が可能になると考えている。PfizerとIterativeは、データ共有を通じてIBDの新規治療法開発の効率化と加速化を目指す。

出典:Iterative Scopes

(了)


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