2022/04/12
米国eHealthジャーナル第62号
Ovid、英国バイオテクのHealxと戦略的提携
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脆弱X症候群を適応症とする併用療法の開発で
神経疾患の治療に注力するニューヨーク州ニューヨーク拠点のバイオ製薬企業Ovid Therapeutics(以下、Ovid)と、希少疾患分野において人工知能(AI)基盤の創薬に取り組む英国のバイオテク企業であるHealxは2月8日、戦略的提携契約を結んだことを明らかにした。合意の下Healxは、Ovidの医薬品候補「gaboxadol」をライセンスする独占的オプション権を取得した。本取引の金銭面での詳細は公開されていない。
gaboxadolはOvidが脆弱X症候群を適応症にフェーズIIa臨床試験下で開発を進めていたGABA受容体アゴニスト。gaboxadolは、最近実施された12週間のフェーズIIa無作為化二重盲検並行群間比較試験において、脆弱X症候群患者における主な行動症状の調整とした主要評価項目を達成した。
脆弱X症候群はX染色体長腕末端部のFMR1遺伝子の異常により発症する遺伝子疾患。FMR1遺伝子は脳の発達にきわめて重要なFMRPタンパクをコードするが、脆弱X症候群患者ではFMR1遺伝子がFMRPを合成しない。患者は知的障害や行動および学習障害を呈するほか、身体的特徴として大耳介や関節の過伸展などが見られる。両社によると、脆弱X症候群は男性では4,000人に1人、女性では8,000人に1人の割合で発症する。現在同疾患を適応症として承認されている治療薬は無い。
Healxはオプション権を行使した場合、同社独自のAI基盤医薬品発見プラットフォーム「Healnet」を使って特定した化合物とgaboxadolの併用療法を開発する。これには、現在同社がフェーズIIa臨床試験の準備を進めている非ステロイド系抗炎症薬候補のHLX-0201も含まれる。Healxでは、まず脆弱X症候群を適応症とする併用療法について開発を進め、将来的に他の疾患にも対象を拡大する考えだ。
OvidはHealxから、gaboxadolの開発や規制手続き、商業化面でのマイルストーン達成に応じて支払いを受けるほか、gaboxadolを含有する医薬品が承認された場合は、それら製品の売上に応じてロイヤルティを受領する可能性がある。なお、Ovidは今後、gaboxadolの試験を単独で実施する計画はない。
Healxは、医薬品開発において必要とされる、疾病に対する理解や患者データなどの様々な要素が限定的にしか存在しない希少疾患分野において、そういった課題をAI技術で克服することを目指している。独自の医薬品発見プラットフォームであるHealnetは、医薬品データや疾病データのAI分析によって新規の相関関係を同定し、創薬に結びつけることを目指すもの。 Healxは、英国の製薬大手AstraZenecaや、ドイツの製薬大手Boehringer Ingelheimをはじめとする複数の製薬企業と提携関係にある。
(了)
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