2022/05/26
臨床医が解説するアジアのヘルステック(第4回)
Aevice Health社が慢性呼吸器疾患患者向けのウェアラブル聴診器を開発
「AeviceMD」の有用性と臨床利用への課題
Aevice Health社について
Aevice Health社は、南洋理工大学発のシンガポールに拠点を置く医療技術ベンチャーである。同社CEO兼共同設立者であるAdrian Ang氏は幼少期より喘息を患い、入退院を繰り返した経験を持つ。この経験から喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性呼吸器疾患をコントロールするためのデジタルソリューションの開発を目的としてAevice Health社を設立した。こうして開発された製品が、慢性呼吸器疾患患者が自宅で症状を管理モニタリングするためのスマートウェアラブル聴診器、「AeviceMD」である。同社はプレ・シリーズA企業であり、すでに320万米ドルの資金を調達し、日本の上場企業である東邦ホールディングスなどとも提携を行なっている。
「AeviceMD」について
「AeviceMD」はコインサイズのウェアラブル聴診器(直径約3cm)であり、慢性呼吸器疾患の患者さんが自宅にいながら病状を管理し、臨床医とつながることを可能にするものである。本デバイスは安静時や睡眠時に右胸に装着し、継続的に心拍数や呼吸数を記録する。また、常に呼吸音や心音もモニタリングしており、慢性呼吸器疾患の発作時に現れる喘鳴(ぜんめい:喘息などの発作時に起こる異常呼吸音)の検出、記録も行う。
送信、記録されたデータは臨床医と共有することができ、これにより疾患の重症度や治療効果をより詳しく知ることができる。このため、慢性呼吸器疾患のより良い治療につなげることができる、と考えられている。現在「AeviceMD」はシンガポール国内で臨床試験中であり、米国食品医薬品局(FDA)の認可を申請中である。また、日本への同デバイスの進出も、前向きに検討中である。
(次ページへ)
本記事に掲載されている情報は、一般に公開されている情報をもとに各執筆者が作成したものです。これらの情報に基づいてなされた判断により生じたいかなる損害・不利益についても、当社は一切の責任を負いません。記事、写真、図表などの無断転載を禁じます。
Copyright © 2022 LSMIP事務局 / CM Plus Corporation
連載記事