2022/07/26

米国eHealthジャーナル第69号

DarioHealth、OrbiMedと優先担保付きローン契約で合意

デジタルセラピューティクス, VC投資・M&A・決算, DarioHealth, ジャーナル第69号, 生活習慣病

非希薄的資金でDTxプラットフォームを拡大

慢性疾患の管理を目的としたデジタル・セラピューティクス(DTx)の開発に特化するDarioHealth(以下、Dario)は6月9日、ヘルスケア業界への投資に特化する投資会社のOrbiMedと、期間5年間、融資枠最大5,000万ドルの優先担保付きローン契約で合意したことを明らかにした。

イスラエルで開発された技術を基に2011年にデラウェア州に設立されたDarioは、現在はニューヨーク州ニューヨークに本拠を構える。同社は2019年5月には新規株式公開(IPO)を実施し、ナスダック株式市場に上場を果たしている。Darioは、今回のOrbiMedとの契約により、既存株主の持ち株比率に変更をもたらすことのない非希薄的資金にアクセスを得た。最初の2,500万ドルは契約完了時に、残りの2,500万ドルは、事前に定められた売上ターゲットをDarioが達成した場合に2023年6月30日以前にアクセス可能となる。Darioでは、DTxプラットフォームの更なる開発とマーケットアクセスにこれらの資金を利用する考えだ。

慢性疾患分野でDarioは、糖尿病管理、高血圧症管理、体重管理のためのDTxを提供している。いずれのDTxも、コネクテッドデバイス(血糖値測定デバイス、デジタル体重計、デジタル血圧計)と、コンパニオン・スマートフォンアプリをコア要素としており、専門家によるデジタルコーチングや疾病モニタリングを介して、デジタル基盤の疾病管理を実現する。Darioによると、アプリは8言語に対応しており、コーチングも複数言語で提供されている。同社の「Dario Blood Glucose Monitoring System」はFDAをはじめとする各国の規制当局から医療機器として承認されており、米国、カナダ、英国、ドイツ、イタリア、オーストラリア、オランダ、ニュージーランドで販売されている。

同社は3月には、自社のDTxポートフォリオの共同販促を目的としてフランスの製薬大手、Sanofiの米国子会社と複数年の戦略的合意に至った。Darioは、Sanofiとの提携により保険プランや雇用主といった販促チャネルの大幅な拡大を見込んでいる。両社はまた、Darioの技術プラットフォームを活用した、サービス内容の拡大あるいは新規ソリューションの開発にも共同で取り組んでいる。

近年のDarioは、慢性疾患分野を超えたビジネスの拡大を目指しており、2021年5月には、認知行動療法(CBT)やマインドフルネスの技法を基盤としたメンタルヘルスケア・プラットフォーム「wayForward」の開発企業、PsyInnovationsを3,000万ドルで買収している。 wayForwardはブランド名を維持し、Darioの傘下でサービス提供を続けている。2022年1月には、イスラエル拠点のデジタルヘルス企業 Physimax Technologies(以下、Physimax)を買収し、筋骨格系(MSK)DTx分野を強化した。Physimaxは、人の体の動きを検知・測定するコンピューター・ビジョン(VC)技術と人工知能(AI)技術を利用して、MSK機能のスクリーニングを実行する身体機能アセスメントアプリを手掛けている。MSKの可動性、安定性、強さ、動きのコントロールを即時にスコア化し、客観的なフィードバックとして提供するとともに、搭載されたAIが、スコアに基づき怪我の予防や弱点の克服、もしくは身体の回復などを目的としたエビデンス基盤の個別化トレーニングプログラムを生成する。

(了)


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