2022/07/26
米国eHealthジャーナル第69号
世界ウェアラブル・デバイス出荷台数が、史上初めて減少
研究・調査, 医療機器, ジャーナル第69号, ウェアラブル
2022年第1四半期は前年同期比3%減に
IT市場に特化する市場調査会社のInternational Data Corporation(IDC)は6月7日、ウェアラブル・デバイス市場に関する調査報告書、「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」を発行した。それによると、2022年第1四半期におけるウェアラブル・デバイス世界市場の出荷台数は前年同期比3%減となり、世界出荷台数が初めて減少に転じた。
ウェアラブル・デバイスは前年同期には記録的な数字を達成していた。2021年第1四半期のウェアラブル・デバイスの世界市場における総出荷台数は1億860万台で、四半期ごとのウェアラブルの出荷台数としては過去最高となり、初めて1億台を突破した。2022年第1四半期の出荷台数は1億530万台で、市場が頭打ちになる可能性を示唆している一方で、ウェアラブル技術に引き続き根強い需要があることも示している。
IDCが調査対象とした企業全体の出荷台数は前年同期比で減少したが、企業別でみると、Appleは、「AirPods」は横ばいだったものの、主に「Apple Watch」の出荷台数が伸びたことで総出荷台数が前年同期比6.6%増となった。ウェアラブル・デバイス市場におけるAppleのシェアは前年同期の27.7%から30.5%に増加した。Appleは、6月開催の開発者会議「WWDC 2022」で、 Apple Watchの次期OS「watchOS 9」ではワークアウトのトラッキング機能が強化されることを明らかにしている。より多くのデータが画面に表示され、心拍数が設定値を下回るとアラートが表示されたり、ランニング中の腕と脚の動きをより精緻に計測してこれまでより正確な歩幅データを提供できるようになるという。
Appleに次ぐシェアを占めたのは韓国企業Samsungで、2022年第1四半期の世界市場シェアは前年同期の11.1%からわずかに減少して10.3%となった。出荷台数については前年同期から10%近い減少となった。市場シェアの上位5社には、3位の小米科技(シャオミ、市場シェアは9.3%)と4位の華為技術(ファーウェイ、市場シェアは7.3%)の中国企業2社そして、5位にはインドを拠点とし同国で巨大なプレゼンスを誇るImagine Marketing(市場シェアは3.0%)がランクインした。
IDCよると、あらゆるウェアラブル・デバイスが同様に需要減に直面したわけではなく、例えばヒアラブル(Hearables)型は前年同期比0.6%減と僅かな減少に留まったが、ウェアラブル・デバイスのパイオニアであるリストバンド型は同40.5%減と大幅に減少した。リストバンド型は、供給不足と需要減が相まって、成長が大きく妨げられた。一方、腕時計型は前年同期比9.1%増となり、ウェアラブル・デバイス世界市場全体の28%を占めた。
IDCは全体の出荷減の主な要因として、「ウェアラブル・デバイスは数年にわたる急成長を経てパンデミックの間にはさらに成長が拡大したが、消費者はウェアラブル・デバイス以外の技術に向かうようになっており、需要が落ち着いた」と説明している。
(了)
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