2022/08/09
米国eHealthジャーナル第70号
Swing Therapeutics、シリーズA投資ラウンドで1,030万ドルを調達
デジタルセラピューティクス, VC投資・M&A・決算, 疼痛管理, Swing Therapeutics, ジャーナル第70号
線維筋痛症を適応症とするDTx候補の開発を加速
カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするデジタル・セラピューティクス企業(DTx)企業のSwing Therapeutics(以下、Swing)は6月16日、シリーズA資金調達ラウンドを完了し、1,030万ドルを調達したことを明らかにした。Jazz Venture Partnersが主導した同ラウンドには、Alumni Ventures、AME Cloud Ventures、Asahi Kasei Corporate Ventures、Gaingels、 Kicker Ventures、Mana Ventures、Metrodora Venturesが参画した。2019年に設立されたスタートアップ企業であるSwingは、シード・ファンディングで900万ドルを調達している。
Swingは2021年8月に、線維筋痛症を適応症に開発中のDTx候補について、FDAから画期的医療機器指定を獲得している。画期的医療機器指定プログラムは、「生命の危険がある、または患者を不可逆的に衰弱させる疾患や症状」を治療または診断する新規医療機器への迅速な患者アクセスを目指すもので、指定を受けた製品候補には優先審査が保証される。線維筋痛症は、身体の広範囲にわたって持続的、あるいは断続的な痛みが見られる疾病で、強いこわばりとともに、激しい疲労感、不眠、頭痛やうつ気分など多彩な症状を伴う。現時点で、疾病の原因は解明されていない。
SwingのDTx候補は、アクセプタンス・アンド・コミットメント・セラピー(ACT)と呼ばれる認知行動療法(CBT)の1つを採用するもので、スマートフォンを使ってアクセスする治療期間12週間のデジタルプログラムを介して、線維筋痛症患者が症状を理解して管理するのを支援する。1日あたりの治療介入時間は最大20分。Swingは、この技術の独占的ライセンスをカナダのマニトバ大学から取得した。
Swingでは、今回のシリーズAで調達した資金を、デジタルACTプログラムおよびデジタル症状トラッカーの2種類のデジタルヘルス・ツールの安全性および有効性を検証する「PROSPER-FM」と呼ばれる臨床試験の実施、および関連テレヘルス・クリニックの開設のために利用するという。PROSPER-FMは多施設無作為化三重盲検(被験者、ケアプロバイダー、アウトカム評価者)試験で、線維筋痛症の症状および機能障害等について多面的に評価できる自記式の質問票である「Fibromyalgia Impact Questionnaire Revised(FIQR)」の総スコアと、被験者の自己申告による全体的な改善を示す指標である「Patient Global Impression of Change(PGIC)」を主要評価項目(co-primary endpoint)としている。Swingでは、PROSPER-FMで得られたデータを基に、FDAへの承認申請を行う計画だ。
(了)
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