2022/11/08
米国eHealthジャーナル第76号
Express Scripts、デジタルヘルス・フォーミュラリーの拡大を発表
提携, ジャーナル第76号, Express Scripts, 薬局
新たに5種類のデジタルヘルス製品を追加
薬剤給付管理会社(PBM)大手、Express Scriptsの親会社であるEvernorthは9月15日、同社のデジタルヘルス・フォーミュラリーに新たに5種類のデジタルヘルス製品を加えたと発表した。Evernorthは、Express Scriptsのほか、専門薬局のAccredo Specialty Pharmacy、医療給付管理会社のeviCoreの各企業を傘下に擁し、雇用主や保険プラン、連邦保険プログラムが被保険者に対してヘルスケア分野における革新的ソリューションを柔軟に配備できるよう、質の高いヘルスサービスのコーディネーションを行っている。Evernorthは、拡大するヘルスサービスポートフォリオの新ブランドとして大手民間保険会社のCignaが2020年9月に設立したCignaの完全子会社である。
デジタルヘルス製品が増加の一途をたどる中で、「目利き」はあらゆる企業にとって課題となっている。デジタルヘルス・フォーミュラリーはEvermorthが健康保険プランや自家保険提供雇用主といった顧客向けに2020年からスタートした新しいサービスで、第三者開発のデジタルヘルス製品やウェルネス製品についての理解を助け、保険カバレッジの1つとしてより容易に被保険者・従業員に給付することを可能にするもの。Evernorthによると、医師、薬剤師、ユーザー体験に関する専門家による審査を経てフォーミュラリーに収載されたデジタルヘルス製品は、臨床効果、セキュリティとプライバシー、価値およびユーザビリティに関するEvernorthの基準を満たしている。
客観的に精査されたデジタルヘルス製品を知ることができることに加えて、Evernorthの企業顧客はデジタルヘルス・フォーミュラリーを利用することにより、デジタルヘルス企業と個々に契約を締結する負担がなくなり、また、Evernorthの規模の経済による利用コスト低減を期待できるほか、ますます増え続ける、処方箋を要するデジタルヘルス製品についても適宜カバーしていく道筋ができる。
2019年12月に発表された、2020年(初年度)のデジタルヘルス・フォーミュラリーは、糖尿病、心血管疾患、肺疾患、精神疾患分野の4分野にフォーカスするもので、デジタルヘルス企業6社が販売する15種類のデジタルセラピューティクス(DTx)が採用された。2021年にはデジタルヘルス・フォーミュラリーを拡大し、1)妊活、妊婦の健康、子育てといった女性の健康分野に注力するWildflower Healthのモバイルアプリ、2)Quit Geniusのデジタル禁煙プログラム、3)ケア提供者のストレスや精神的健康をサポートするPrevail Healthのデジタルプログラム、4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下での安全なオフィス再開に取り組む雇用主を支援するBuoy Healthの「Back With Care」、 5)Hinge Health、6)Omada Health、7)RecoveryOneの3社がそれぞれ提供する筋骨格系(MSK)疼痛向けのデジタルケア・プログラムの7種類の新規サービスを追加した。
今回Evernorthは、睡眠障害、不安症、物質使用障害(SUD)、炎症性疾患の管理支援のためのデジタル製品をデジタルヘルス・フォーミュラリーに追加した。追加されたのは、Big Healthが提供する不安・心配緩和アプリの「Daylight」と認知行動療法(CBT)を基盤とする睡眠改善アプリの「Sleepio」、Quit Geniusが提供するアルコール依存症患者向けデジタルプログラムとオピオイド使用障害患者向けデジタルプログラム、そして、炎症性疾患患者における注射治療によるケアの管理を支援するHealthBeaconのデジタルプログラム。
Evernorthのチーフ・イノベーション・オフィサーであるGlen Stettin博士は、「Evernorthは、複雑かつ慢性の疾患を持つ患者の未充足の医療ニーズに対応するため、デジタルヘルス・フォーミュラリーを拡大し続けている。デジタルヘルス・フォーミュラリーへの製品の追加によって患者は、健康の改善および維持のための手頃な新規選択肢にアクセスできるようになる。また、企業顧客はこれらのソリューションを福利厚生制度に組み込むことが容易となり、コスト効率も向上する」と声明で述べた。
デジタルヘルス・フォーミュラリーと同様の取り組みとして、大手薬局チェーンCVS Health傘下のPBM事業であるCVS Caremarkも、2019年6月から「Point Solution Management(以前のプログラム名はVendor Benefit Management)」と呼ばれるサービスを顧客に提供している。
(了)
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