2022/12/13

米国eHealthジャーナル第78号

サブスクリプション型減量アプリのNoomが2度目のレイオフ

ジャーナル第78号, Noom, デジタルセラピューティクス

4月にも減量コーチ要員を25%削減

一部報道は10月14日、減量アプリのNoomが従業員の10%にあたる約500名をレイオフ(一時解雇)すると報じた。

ロシア・ウクライナ戦争や、米国で急速に進むインフレとその対応としての利上げなどを背景として、投資家の弱気姿勢が強まって株式市場全体が軟調に推移する中、世界の新興テクノロジー企業は現在、試練に直面している。ハイテク株安と新規株式公開(IPO)市場の低迷によって資金調達のハードルが上がっており、スタートアップ企業が生き残るためには、レイオフに踏み切らざるを得ない状況にある。Noomは4月にも、コーチング戦略の変更に由来するレイオフを実施して、減量コーチ要員を25%削減している。今年2回目となる今回のレイオフは、デジタルヘルス分野で起きている一連のレイオフ計画の最新のものとなる。Noomのほかにも、テレヘルス/ヘルスケア・ナビゲーションプラットフォーム企業のIncluded Healthや、デジタル・セラピューティクス(DTx)企業のPear Therapeutics、DTCテレヘルス・プロバイダーのRoman Health Ventures、オンライン薬局のCapsule、家庭用診断キット開発企業のCue Health、ハイブリッドケア・プロバイダーのCarbon Health、家庭用フィットネスバイクのPeloton、瞑想/マインドフルネスアプリのCalmなどが、レイオフの実施を明らかにしている。

2008年設立のNoomは、2021年5月に完了したシリーズF投資ラウンドにおいて、当時のデジタルヘルス分野でのベンチャー・キャピタル(VC)史上では最高額となる5億4,000万ドルもの巨額資金を調達した。Bloombergによると、当時のNoomの評価額は37億ドルだった。Noomは、シリーズFで調達した資金を、減量以外の分野への拡大に利用する計画だと述べ、その後に「Noom Mood」と名付けられたストレス管理製品を発売した。

出典:Noom

栄養士やその他の専門家によって開発された減量アプリのNoomは、サブスクリプション型のアプリで、食事、運動、体重の記録・追跡機能、他のユーザーとつながるグループチャット機能、レシピ検索機能をなど備え、専門家によるパーソナル・コーチングを通じて、ユーザーがモチベーションを維持して減量目標を達成するのを支援する。Noomでは「信号機システム」を利用して食物を分類している。禁止されている食物はないが、青のフードアイテムは自由に食べてもよく、黄のフードアイテムは少量なら可能、そして、赤のフードアイテムは立ち止まって考える必要がある。ユーザーの行動変容を促すことで、健康的なライフスタイルと長期の体重維持を目指している。Noomによると、このアプリは世界に5,000万名超のユーザーを擁している。


出典:Noom

「Noomは過去数年間に渡って並外れた成長を遂げてきたが、長期的な成長を維持できる組織構造を持つことが不可欠であり、Noomの従業員数を減らすという難しい決断を下すに至った」とNoomのスポークスパーソンは語っている。

(了)


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