2022/12/27

米国eHealthジャーナル第79号

Color HealthがMood Liftersを買収

Color Health, 精神疾患, 患者データ・疾病リスク分析, ジャーナル第79号, VC投資・M&A・決算

グループベースのメンタルヘルスケア提供へ

ポピュレーションヘルスに注力するカリフォルニア州バーリンゲーム拠点の技術企業であるColor Health(以下、Color)は10月27日、公衆衛生機関や学校区、その他集団衛生に携わる組織が、メンタルヘルスケアを適宜かつ必要な規模で提供するのを支援するため、グループベースのメンタルヘルスケアを提供するMood Liftersを買収したと発表した。ポピュレーションヘルスとは、共通要素のある集団全体の健康向上を効率的に実現することを目指すもの。Mood Liftersは、ミシガン大学のPatricia Deldin博士とCecilia Votta博士によって開発された、エビデンスに基づく治療パラダイムを活用し、ストレス、困難な生活状況、うつ病、不安に直面する人々の治療アウトカム改善に向けたメンタルヘルスプログラムを提供している。

メンタルヘルスケアを必要とする人々のうち、50%以上はケアを受けておらず、最初に症状が現れてから患者が治療を開始するまでの期間の中央値は11年となっている。少数人種・少数民族の人々ではこのアンメットニーズの割合はさらに高く、こうしたケアにおける格差は、熟練した医療従事者の不足と、コストおよびロジスティクス面での障壁を含むアクセス上の課題によってさらに広がっている。 ColorのCEOのOthman Laraki氏は、「メンタルヘルスケアへのアクセスにおける課題は、供給不足から生じている。これは医療提供のロジスティクスを再構築することで解決が可能であり、これは、Colorが9年前の創業以来行ってきたことである」述べている。

出典:Shutterstock

Colorは、一般消費者や雇用主向けに疾病関連リスクを検出する遺伝子検査や遺伝カウンセリングを提供している。 Color は、公的機関や研究機関、ヘルスシステム、その他関係者との協力で構築されたシステムを擁しており、Colorによると、匿名化された遺伝子データをさまざまなヒト遺伝子多様体の公開データベースと共有することが可能だ。データが帰属する本人から共有許可を得ている場合には、研究目的で研究者と共有することも出来るという。Colorは、国立衛生研究所(NIH)が実施する長期大規模観察研究プログラムである「All of Us Research Program(以下、All of Us)」において、遺伝カウンセリングとそのための技術インフラの提供を担当している。2018年5月に正式発足したAll of Usは、米国の多様性を反映した100万人以上の個人から健康関連のデータと生体試料を収集し、広範な研究用途への活用を目指す大規模プロジェクト。All of Usは個別化医療に関する科学を進歩させ、すべての米国在住者がその恩恵を享受できるようにすることをミッションとしている。

Colorは、2021年1月のシリーズD投資ランドで1億6,700万ドルを調達し、ユニコーン企業(創業10年以内、評価額10億ドル以上、未上場、テクノロジー企業の4条件を兼ね備えた企業)の仲間入りを果たした。その後同社は、同年11月に完了したシリーズE投資ラウンドで、さらに1億ドルを調達し、その評価額は46億ドルに達した。Colorはこれまでに3億7,800万ドルを調達している。

(了)


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