2023/01/24

米国eHealthジャーナル第81号

PatientsLikeMeとLetsGetCheckedが提携

提携, LetsGetChecked, 診断・検査・予測, PatientsLikeMe, 医療コミュニケーション支援, ジャーナル第81号

診断テストの選択肢を拡大し、より適切な症状管理を支援

患者同士の情報交換を目的としたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のPatientsLikeMe(以下、PLM)と消費者直販(DTC:Direct to Consumer)診断テストを手掛けるLetsGetCheckedは12月13日、自宅で実施できる診断テストの選択肢を拡大し、患者がより適切に自身の症状管理を行うのを支援することを目的として提携したと発表した。この提携により、約100万名のPLMのメンバーは、PLMのSNSプラットフォームから直接LetsGetCheckedの診断テストに割引価格でアクセスすることが可能となる。

LetsGetCheckedは、2014年に設立されたニューヨーク州ニューヨーク拠点のスタートアップ企業で、性的健康、女性の健康、男性の健康、ウェルネスの4カテゴリーにおいてDTC診断テストを販売している。性的健康のテストは、主に性感染症(STD)を検査するもので、5種類のSTDを対象とした「Standard 5」の価格は149ドル。女性の健康テストは、女性ホルモンやヒトパピローマウイルス(HPV)感染、卵巣予備能などを検査することが可能。男性の健康テストは、テストステロンをはじめとする男性ホルモンや前立腺特異抗原(PSA)などを検査する。ウェルネステストは、直腸癌、コレステロール値、甲状腺ホルモン、ビタミンD不足、ビタミンB12不足、腎機能、肝機能など、幅広い検査に対応している。同社は、2021年6月に完了したシリーズD投資ラウンドで1億5,000万ドルを調達している。


出典:LetsGetChecked

兄弟が難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、同様の患者と治療方法や体験を共有したかったという切実な思いからスタートしたPatientsLikeMeは2006年にサービスを開始した体験情報共有型ネットコミュニティ。現在ではALSのほか、HIV/AIDS、多発性硬化症(MS)などを含む2,900種の疾病および健康状態について患者コミュニティを形成している。PLMは2019年6月に大手民間保険会社UnitedHealthcare(以下UHC)に買収され、現在は、UHCの一部門として運営されている。PLMは2021年2月には、今後の成長拡大に向けて2,600万ドルを調達したことを明らかにしている。Alta Partners、Hambrecht Ducera Growth Ventures、Optum Ventures、PBM Capitalが主導した同ラウンドにはSymphony Venturesと、SVB SecuritiesのCEOであるJeff Leerink氏も参加した。Optum Venturesは、UHC傘下のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)。

米国医師会(AMA)が9月に発表したデータ(https://www.ama-assn.org/press-center/press-releases/ama-physicians-propelling-health-care-s-digital-transformation)によると、医師の93%は、デジタルヘルスツールと遠隔患者モニタリング(RPM)ソリューションが患者ケアに大きな利点をもたらすと考えている。このトレンドは今後も継続する見通しで、LetsGetCheckedとPLMは提携を通じて、すべての人が必要な場所で必要な医療を受けられるよう、幅広い治療とサポートサービスへの患者アクセスを拡大を目指すという。

(了)


本記事掲載の情報は、公開情報を基に各著者が編纂したものです。弊社は、当該情報に基づいて起こされた行動によって生じた損害・不利益等に対してはいかなる責任も負いません。また掲載記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
Copyright © 2023 株式会社シーエムプラス LSMIP編集部

連載記事

執筆者について

関連記事