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糖尿病予備用DTxを検証する大規模無作為化試験を実施中
糖尿病、高血圧症、高脂血症患者向けの疾病管理プログラムを手掛けるデジタル・セラピューティクス(DTx)企業のOmada Healthは6月26日、投資会社Wellington Managementが率いる投資ラウンドにおいて7,300万ドルを調達したと発表した。
同投資ラウンドには、大手民間保険会社Cignaのベンチャー・キャピタル(VC)投資部門であるCigna Ventures、統合的ヘルスシステムであるKaiser PermanenteのVC投資部門Kaiser Permanente Venturesのほか、Sanofi Ventures, Andreessen Horowitz、U.S. Venture Partners、Norwest Venture Partners、Civilization Ventures、Providence Venturesが参加した。
Omada Healthの糖尿病患者向けDTxは、ワイヤレス接続された体重計と在宅血糖値測定デバイス、スマホアプリを利用したオンライン・コーチング、互いに励ましあったり競争したりできる患者コミュニティのオンライン・ピアグループ、食事や運動、睡眠、ストレスなどについてのインタラクティブなオンライン・レッスンで構成されている。
(出典)Omada Health
DTx企業の多くはFDA承認の獲得を目指して臨床試験を実施しているが、DTxや疾病モニタリング技術が保険償還対象となるために、必ずしもFDA承認が必要というわけではない。Omada Healthの慢性疾患管理プログラムはFDAの承認を受けていないが、全米50州の600を超える雇用主や保険プランに採用されている。
これは、Omada Healthがこれまでに11件のピアレビュー試験を実施・発表しており、ペイヤーに提示できる強固なエビデンスを保有しているためだ。
さらに現在は、糖尿病予防用DTxの検証を目的として、これまでで最大規模となる無作為化試験を実施中だ。
また同社は、早い段階から民間保険会社との関係を構築することに成功している。2015年9月に実施された4,800万ドル規模のシリーズC投資ラウンドには、Omada Healthのサービスを会員向けに提供する大手民間保険会社のHumanaが参加、その後の2017年6月に実施された5,000万ドルの投資ラウンドはCignaが主導し、HumanaやKaiser Permanente Venturesが参加した。
慢性疾患の管理にDTxを取り入れようとしているのは民間保険に限られない。メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)は2016年11月、「Medicare Diabetes Prevention Program (MDPP)」の最終方針を決定し、2018年から、エビデンスに基づく糖尿病予防サービスへのメディケア償還が開始されている。
MDPPに参加できるのは、公衆衛生の向上を掲げる連邦機関であるCDC(Centers for Disease Control and Prevention)認定のDiabetes Prevention Program(DPP)プロバイダで、Omada Healthはその最大手である。DPPプロバイダは、提供したサービスについて、対応するHCPCS Gコード*1を利用し、医療サービス提供者としてメディケアに償還請求を行う。
コードには、例えばベースラインからの5%の体重減少、特定期間における体重減少の維持といったように、「価値」が内包されている仕組みとなっている。
(了)
*1) 保険請求に使用する医療行為・サービスのコード集
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