2023/02/28
米国eHealthジャーナル第83号
Verilyが従業員の15%をレイオフへ
VC投資・M&A・決算, ジャーナル第83号, Verily
戦略の集中化によりプレシジョンヘルスにおけるバックボーンを目指す
Alphabetのライフサイエンス子会社Verilyの新CEOであるStephen Gillett氏は1月11日、従業員宛てのEメールにおいて、戦略の集中と選択、製品の優先化、経営モデル変更の必要性から、従業員の15%をレイオフすると発表した。Verilyは1,600人以上の従業員を擁しており、200人以上の従業員がこのレイオフの影響を受けることになる。医療システム分析ツール「Verily Value Suite」の開発を中止するほか、心不全の遠隔患者モニタリングや薬物送達のためのマイクロニードル開発などの取り組みも中止するという。
同社は今後、人工知能(AI)とデータサイエンスの活用にフォーカスし、基礎研究とケアのギャップを縮めるとともに、エビデンスに基づくプレシジョン介入を実現する製品を優先化することで、「プレシジョンヘルスのためのデータとエビデンスのバックボーン」となることを目指す。
Verilyは、Alphabetの研究開発部門(当時はGoogle Xと呼ばれていた)から2015年に立ち上げられたライフサイエンス企業で、2022年9月には経営陣の刷新と並行して、親会社のAlphabetが主導する投資ラウンドで10億ドルを調達したことを明らかにしている。創業者のAndy Conrad氏がCEOを退任して取締役会の執行役会長に就任し、Gillett氏が新CEOに就任することが発表された。Gillett氏は1月3日付でCEOに就任したばかりだ。
Verilyは、高度なハードウェアとソフトウェア、科学、医療における専門知識を活用して、疾病の予防と管理、健康データの収集・整理・活用化のためのツールやシステムの開発に取り組んでおり、複数のライフサイエンス企業や医療機器メーカー、政府機関と提携関係を構築してきた。提携企業の顔ぶれは多岐にわたり、心臓遠隔モニタリングのiRhythm Technologiesやバイオ製薬企業のそーせいヘプタレス、化粧品大手のL'Oréal、デンタルケア企業のColgate-Palmolive、非営利アカデミック医療センターのMayo Clinicなどと協働している。
Verilyはまた、独自の臨床試験近代化プラットフォームである「Project Baseline」で複数の大手製薬企業と提携している。2021年8月には、効率性と質の高い臨床研究をより簡便に実施するための、試験サイト向け臨床試験管理システム(CTMS)プラットフォームを開発する株式非公開企業のSignalPathを買収し、「Project Baseline」の機能を強化・拡大した。
出典:Verily
Verilyはほかにも、人工知能(AI)音声ツールを手掛けるSyllableや、革新的医薬品の格安価格での提供を目指すバイオテクノロジー企業のEQRx、バイオ医薬品製造スタートアップのCulture Biosciencesに投資している。
(了)
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