2023/04/25

米国eHealthジャーナル第86号

Akili Interactive、2022年第4四半期および通年の決算を発表

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12歳以上の患者を対象にEndeavorRxの追加承認を目指す

小児の注意欠陥多動性障害(ADHD)患者向けのデジタル・セラピューティクス(DTx)を手掛けるAkili Interactive(以下、Akili)は3月7日、2022年第4四半期および通年の決算を発表した。

Akiliは、8~12歳のADHD患者における注意機能の改善を適応としたビデオゲーム基盤の処方箋DTxである「EndeavorRx」について、2020年6月にFDA承認を獲得した。実質的に同等な製品が存在しない、安全性リスクが低~中程度の革新的医療機器を対象とするデノボ(de novo)申請経路で承認されたEndeavorRxは、ゲームを活用してユーザーの行動変容を促す「ゲーミフィケーション」を用いた疾患治療製品をFDAが承認する初のケースであるとともに、ADHDに関連する症状の改善を目的として承認された初の処方箋DTxでもある。

通年の売上は、前年の53万8,000ドルから32万3,000ドルに減少した。Akiliによると、2022年の売上は全てEndeavorRxの販売によってもたらされた。2021年には、EndeavorRxの売上18万6,000ドルに加えて、塩野義製薬との提携に基づくライセンス収入があった。Akiliと塩野義製薬は2019年3月に、EndeavorRxおよび自閉スペクトラム症(ASD)患者向けにAkiliが開発中のAKL-T02について、日本および台湾における独占的開発・販売権を塩野義が獲得することで合意している。通年のGAAPベースの純損失は、前年の6,130万ドルから800万ドルに減少した。非GAAPベースでの純損失は、前年の5,640万ドルから7,830万ドルに拡大した。

第4四半期の売上は、直前四半期(2022年第3四半期)の8万2,000ドルから11万1,000ドルに拡大した。第4四半期におけるGAAPベースの最終損益は、5,320万ドルの純利益を計上した直前四半期から、1,680万ドルの赤字に転落した。Akiliによると、第4四半期には801名のプロバイダーによって、1,801枚のEndeavorRxの処方箋が発行された。

決算報告においてAkili のCEOのEddie Martucci氏は、EndeavorRxの適応症を12歳以上のADHD患者へと拡大するためにFDAに申請する予定であり、これにより同社は、EndeavorRxで対応可能な市場を2倍に拡大できると考えていることを明らかにした。

Akili は1月、従業員の約30%を削減する計画であることを明らかにしている。Martucci氏は、従業員に宛てたEメールメッセージの中で、「現在の経済環境下でAkiliが独立性を維持するためにはオペレーションを縮小する必要がある。社内外の支出を削減して持続可能な経営モデルを確立し、黒字体質への転換を目指す」と述べた。同社は、EndeavorRxの市場浸透と適用範囲の拡大に注力するための資本の確保に向けて、ADHD以外のプログラムを保留にした。この決断により、ASD、多発性硬化症(MS)、大うつ病性障害を適応症とするDTx候補の開発プログラムと、試験開始が予定されていた認知モニタリング・プログラムなどが保留となった。Akiliによると、人員削減によって、2025年第1四半期までキャッシュランウェイ(企業がキャッシュ不足に陥るまでの残存期間)が確保された。

(了)


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