2023/06/13
米国eHealthジャーナル第89号
英国の聴覚ケア企業TympaHealth、シリーズAで2,300万ドルを調達
VC投資・M&A・決算, 耳鼻咽喉科, TympaHealth, ジャーナル第89号
欧州市場での拡大とともに米市場への参入を計画
聴覚ケアに注力する英国のスタートアップ企業TympaHealthは4月27日、Octopus Venturesが主導するシリーズA資金調達ラウンドで2,300万ドルを調達した。同ラウンドには、同社の既存の投資家に加えて、新規にDara CapitalとRezayat investments、エンジェル投資家であるBob Davis氏とJeff Leerink氏も参画した。ロンドンに拠点を置く同社は、2022年のシードラウンドでは800万ドルを調達した。
Tympaは、スマートフォンを使って聴覚の健康状態を評価するポータブルシステムを提供している。同社によると、クリニックや地域密着型のプロバイダーは、同社のシステムを利用して、患者の耳の中の高精細画像を撮影したり、吸引ユニットと併用して耳垢を除去する処置を行ったり、聴力の評価を実施することができる。
Tympaでは、シリーズAラウンドで調達した資金を、英国および欧州におけるチームとサービスの拡大に充てる予定だという。また、Tympaは、米国市場への参入も計画している。TympaHealthの創設者兼CEOであるKrishan Ramdoo博士は、「今回調達した資金は、主要な製品とサービスの開発を加速させるとともに、他の市場で弊社が成長することを可能にするものだ。最も重要な点として、耳と聴覚のヘルスケアをより容易なものにするために、今後も継続して取り組めることを嬉しく思う」と述べた。
出典:TympaHealth
米国では補聴器が1セット平均5,000ドル以上と高額であるうえ、しばしば保険償還の対象外でもあることから、全米で約4,800万人の難聴患者の14%程度しか補聴器を使用できていないという問題がある。また、これまでは専門医経由でしか補聴器を購入できないという障壁があったが、FDAは2022年10月、専門医を介さず補聴器をOTCで購入可能にする新たな規制カテゴリーを実効化した。OTC補聴器は、処方箋のほか医師の診察、フィッティング調整も必要としない。こういった背景を受けて、聴覚ケアの認知度とアクセスは高まりつつあり、聴覚ケアにフォーカスするデジタルヘルス企業にも注目が集まっている。
(了)
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