2023/06/27
米国eHealthジャーナル第90号
Talkspace、2023年第1四半期決算を発表
ジャーナル第90号, VC投資・M&A・決算, Talkspace, 精神疾患, テレヘルス
B to Bセグメントの成長で赤字幅が減少
メンタルヘルスケア領域でテレヘルスサービスを手掛けるニューヨーク拠点のTalkspaceは5月2日、2023年第1四半期決算を発表した。Talkspaceは2021年1月に特別買収目的会社(SPAC)であるHudson Executive Investmentとの合併に合意し、同年6月の合併取引完了を経てナスダック株式市場への上場を果たしている。
第1四半期の売上は、B to Cセグメントにおける減少の一部をB to Bセグメントが補い、前年同期比11%増の3,330万ドルとなった。Talkspaceは消費者向けアプリ企業としてスタートしたが、現在では大規模雇用主や保険会社を対象とするB to Bに力を入れている。B 2 B売上は前年同期比で71%増加となったが、B to C売上は同40%減となった。
Talkspaceによると、保険会社や雇用主、その他のプログラムを通じて、保険カバレッジの一環として同社のサービスを利用することが可能なB to Bセグメント人口(B2B eligible live)は、前年同期から28%拡大し、第1四半期末時点で9,800万名となった。B to Bセグメント人口による当期のセッション完了件数は同90%増の17万1,700回だった。
第1四半期の純損失は880万ドルだった。同社は2022年第4四半期には1,830万ドル、前年同期には2,040万ドルの純損失を計上している。赤字幅の大幅縮小について同社は、B to Bセグメントの成長による増収と営業費用の減少によるものと説明しており、同社によると、あらゆる面での経費削減努力によって営業費用は前年同期比29%減の2,580万ドルとなった。調整後EBITDA(金利、税金、償却前利益)は640万ドルのマイナスとなった。
TalkspaceのCEOであるJon Cohen博士は、第1四半期の決算説明会において、「2023年通年の売上は1億3,000万ドル~1億3,500万ドルを達成できる見通しで、調整後EBITDA(通年)は、以前のガイダンスであるマイナス2,800万ドル ~ マイナス3,200万ドルから縮小して、マイナス2,100万ドル ~ マイナス2,400万ドルに収まる見通しだ」と述べ、2024年の第1四半期末までに調整後EBITDAが収支トントンになる見通しであることを明らかにした。
Talkspaceのサービスはサブスクリプションベースで、価格はライブセッションの利用頻度や、利用するサービス(個人向け、カップル向け、精神科医セッション)およびケアの提供方法(アプリ内チャット、テレセッション、ワークショップ)などによって異なるが、1カ月あたり276ドルから提供されている。四半期または半年ごとの一括払いを選ぶと割引が受けられる仕組みだ。雇用主や保険会社がTalkspaceのサービスを保険カバレッジに含めている場合には、より安価にこれらのサービスを利用することが可能となっている。
出典:Talkspace
Talkspace は2022年11月、株価が30営業日連続で1株当たり1ドルを下回って引けたため、ナスダックから上場廃止の可能性について警告書を受け取った。同社の株価は現在、1株あたり0.86ドル前後で取引されている。今年には、Talkspaceのプラットフォームを通じて利用可能なオンラインセラピストの人数について患者に誤解を与えたとして、集団訴訟が提起された。この訴訟で原告団は、消費者の同意を得ることなくサブスクリプションが自動更新されたと主張している。
(了)
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