2023/06/27
米国eHealthジャーナル第90号
Butterfly Network、2023年第1四半期の決算を発表
VC投資・M&A・決算, ジャーナル第90号, Butterfly Network, 画像技術
Space Xの有人宇宙旅行ミッションで超音波検査システムをテスト
iPhoneを利用した超音波検査システムの開発で知られるButterfly Network(以下、Butterfly)は5月11日、2023年第1四半期の決算を発表した。
第1四半期の売上は、前年同期の1,560万ドルから横ばいの1,550万ドルだった。純損失は前年同期の4,450万ドルから縮小して3,350万ドル、調整後EBITDA(金利、税金、償却前利益)は2,230万ドルのマイナスだった。前年同期の調整後EBITDAは3,970万ドルのマイナスだった。営業費用は前年同期の5,790万ドルから23.7%減の4,410万ドルだった。Butterflyによると、この減少は、2022年8月と2023年1月に人員削減を行ったこと、また、営業、研究開発、一般管理費において給与以外の支出を合理化したことが主な要因。
Butterflyは2020年11月に、ヘッジファンドのGlenview Capital Management傘下の特別買収目的会社(SPAC)であるLongview Acquisitionと合併することで合意し、取引完了によりニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。上場時における株価は10.12ドルだった。上場後には株価が上昇し、2021年2月に25.92ドルの最高値を付けたが、その後は一転して下落トレンドとなっている。今回の決算報告後に同社の株価はさらに下落し、約1.80ドルで5月11日の取引を終えた。
コネチカット州ギルフォードを拠点に2011年に設立されたButterflyは、iPhoneを利用して全身のイメージングが可能な世界初の手持ち式超音波診断デバイスシステム「Butterfly iQ」の開発に成功した。従来型のイメージング機械と比較してほんのわずかなコストで、世界中で利用することができる。Butterfly iQは、腹部、心臓、泌尿器の検査、婦人科や胎児に対する検査など10種類以上の用途でFDA承認を受けている。
出典:Butterfly
2023年4月には、人工知能(AI)を搭載した同社の肺超音波イメージングシステム「Auto B-line Counter」が510(k)経路でFDA承認を獲得した。Auto B-line Counterは、肺炎などを起こした肺の超音波検査で見られるB-ラインを自動カウントするもので、肺機能低下が疑われる成人の評価方法を簡素化し、医師が臨床現場で情報に基づく治療決定を迅速に行うのを支援する。B-ラインは従来、マニュアルベースでカウントされていたが、ディープラーニング技術を活用することで、わずか6秒間の超音波クリップからBラインカウントを生成することが可能になるという。Auto B-line Counterの利用によりカウントプロセスを変容させることができるだけでなく、B-ラインの解釈をより一貫したものにできる。
Butterflyは現在、第2世代の手持ち式超音波診断デバイスシステムである「Butterfly IQ+」を宇宙空間でテストする準備を進めている。今夏には、Space Xの民間有人宇宙旅行ミッション「Polaris Dawn」に参加し、International Space Stationに持ち込まれた他の多くのヘルスケア製品とともにテストを実施する予定である。
(了)
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