2019/09/10

米国eHealthジャーナル 第3号

CMS、「MyHealthEData」イニシアチブをさらに推進

ジャーナル第03号, 行政・規制ニュース, 患者データ・疾病リスク分析, CMS

 
 

医療データを持ち主の下へ

メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)は7月30日、ホワイトハウスで開催された「Blue Button Developers Conference」において、CMSが保有する保険請求データを、本来の持ち主、すなわち患者と患者にケアを提供する医師に開放することで、メディケアの一層の充実を図る計画を発表した。

Blue Buttonは元々、退役軍人局(VA)がVAの健康保険受給者の医療記録を電子的に保管し、受給者が安全にダウンロードできるようにしたオンラインポータルだが、今では他の政府機関や民間企業でも利用されている。CMSは2018年3月、患者自身によるヘルスケアデータの管理を目指す省庁間イニシアチブ「MyHealthEData」の開始を発表、同イニシアチブの一環として、Blue Buttonの改良版である「Blue Button 2.0」を開始した。

Blue Button 2.0は、メディケア受給者が自身の請求データにアクセスし、専用アプリを使って健康管理に役立てたり、医師と共有して臨床上の意思決定に役立てたりするのを可能にするプログラム。仕様標準化団体のHL7(Health Level Seven)が策定した医療情報交換規格「FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)」に準拠したアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)が開発者らにリリースされており、これまでに2,000以上のデベロッパーが様々なアプリ、各種ツールを構築しており、すでに28のアプリが製品化されている。


今回発表された「Data at the Point of Care(以下、DPC)」と呼ばれるパイロット・プログラムも「MyHealthEData」の一環として実施される。DPCは、医師が患者の請求データに直接アクセスするのを可能にするプログラム。医療機関の電子医療記録(EHR)システムは相互運用性の点で依然として課題があり、医師は、他機関の医師が行った治療や処置のデータにアクセス出来ないケースも多い。

こういったEHRの相互運用性の問題を解消することを目指すDPCパイロット・プログラムに参加する医師は、他の医師による治療・診察・診断を含む、これまでの医療処置や既往歴、服用医薬品リストといった包括的患者情報へのアクセスをCMSに請求することが可能だ。DPC も相互運用性を促進するプロトコルとして最も支持者の多いFHIR標準仕様のAPIを採用する。

 

(了)


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