2019/09/10

米国eHealthジャーナル 第3号

Fitbitやスマートフォン由来のデジタルバイオマーカーで「孤独な人」を同定

ウェアラブル, Fitbit, デジタルセラピューティクス, ジャーナル第03号, 疾病管理・患者モニタリング

 
 

孤独は肥満よりも有害

デジタルヘルスに特化するジャーナル、JMIR mHealth and uHealthに7月24日付で掲載された研究「Identifying Behavioral Phenotypes of Loneliness and Social Isolation with Passive Sensing: Statistical Analysis, Data Mining and Machine Learning of Smartphone and Fitbit Data」は、
Fitbitやスマートフォン由来のデータが「孤独」を抱える人々の同定に有効であることを報告している。

米国では孤独を抱える現代人が増えており、特に若い世代では、およそ半数が孤独であると回答している。慢性的な孤独は、うつ病をはじめとする精神疾患や2型糖尿病などの様々な健康問題に関連することが知られている。公衆衛生の向上を掲げる連邦機関であるCDC(Centers for Disease Control and Prevention)によると、孤独は肥満よりも有害で、1日あたり15本たばこを吸うのと同じレベルでヒトの健康を害する。 

研究者らは、Fitbitやスマートフォン由来のデータが、孤独な人を同定するためのデジタル・バイオマーカーとして利用できるかどうかを検証する目的で、大学生160名を被験者として登録した。デジタル・バイオマーカーとは、デジタル・ツールから生成される消費者起点の行動データおよび生理学的データで、健康関連アウトカムに影響を及ぼしたり、健康アウトカムの説明や予測に役立てることが可能なものを指す。


被験者らは、学期の初めと学期末に、UCLA(University of California, Los Angeles)によって開発された、孤独の度合いを評価する「UCLA Loneliness Scale」に基づくテストを完了した。研究者らは、Fitbitとスマートフォンから、被験者の活動レベルや運動量、コミュニケーション、通話利用状況、睡眠に関するデータを収集し、マイニングを行った。結果、機械学習アルゴリズムは、80.2%の精度で被験者の孤独レベルを予測した。また、学期中における孤独レベルの変化については、88.4%の精度で予測することが可能だった。

米国では精神面での問題を抱える学生の数に対して、心理カウンセラーの数が不足しており、多くの大学がメンタルヘルス・アプリやテレヘルスに関心を示している。Washington Universityは今年3月、SilverCloud Healthが開発する、うつ病、不安症、摂食障害などの精神疾患に対するスマートフォン・アプリの有効性評価を目的に同社と研究提携を締結したと発表した。この研究は、国立衛生研究所(NIH)傘下のNational Institute of Mental Healthから受領した5年間で380万ドルのグラントを利用して実施される。研究班は全米の20大学から8,000名の被験者登録を目指している。

 

(了)


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