2019/06/25
米国eHealthジャーナル試読版
トイレの便座で心血管モニタリング
再入院の削減に寄与
Rochester Institute of Technology(RIT)は3月6日、同大の研究チームが、心不全患者をモニタリングするセンサー内蔵のトイレの便座を開発したと発表した。
同大のポスドクであるNicholas Conn博士が設立したニューヨーク拠点のスタートアップ企業のHeart Health Intelligenceは同便座についてFDA承認の獲得を目指している。
患者のバイオメトリクスを測定する便座は、ケア提供者による患者の遠隔モニタリングを可能にする。研究によると、うっ血性心不全(CHF)患者の25%は退院後30日以内に再入院し、また90日までに患者の45%が再入院する。
メディケアでは「Hospital Readmissions Reduction Program、HRRP*1」の下、再入院率が高い病院には厳しいペナルティを課しており、病院にとってCHF患者の再入院は頭痛の種になっている。Conn博士によると、CHF患者の再入院件数が150件の病院は、年間で少なくとも50万ドルのメディケア償還を失うが、150人に対する遠隔モニタリング便座の導入コストは20万ドルだ。
Heart Health Intelligenceは、2018年に「Tiger Tank Competition」で勝者に選出された。RIT が開催するTiger Tank Competitionは、学生にビジネスチャンスを与えるコンペティションで、勝者には賞金が授与される。Conn博士は、「この心疾患モニタリングシステムは、症状悪化の早期検出を目的としている」と語る。
Heart Health Intelligenceが被験者18名を対象に8週間に渡って実施した試験では、同便座が、体重や脈拍数、血圧および血中酸素濃度、1回拍出量(SV)などを正確に測定できることが示された。
同研究「In-Home Cardiovascular Monitoring System for Heart Failure: Comparative Study」は、デジタルヘルスに特化するジャーナル、JMIR mHealth and uHealthに1月18日付で掲載された。
Heart Health Intelligenceのセンサー内蔵便座
(了)
*1) ヘルスケア改革法(PPACA)によって定められたメディケア費用削減プログラムの1つであるHRRPでは、特定の疾病を理由として入院した患者が退院後30日以内に再入院した件数を、再入院の理由に関係なく病院ごとに調査し、患者の人口統計学的特性や共存疾患、および疾病の重症度などの要因による影響を調整後、全国平均と比較し、再入院率が全国平均よりも高かった病院には、翌会計年度のメディケア償還額の削減という形でペナルティが課している 。
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