2019/11/12

米国eHealthジャーナル 第7号

FDA、デジタルヘルス関連ガイダンスを更新

医療機器, ジャーナル第07号, 行政・規制ニュース, デジタルセラピューティクス

 
 

リスクベース・アプローチを明確化 

FDAは9月26日、デジタルヘルス・ツールの開発を促進する革新的アプローチに関する一連のガイダンスを発表した。これらのガイダンスは2016年12月成立の「21世紀治癒法(21st Century Cures Act)」の主要な条項に対処するものである。

21世紀治癒法は、有用なデジタルヘルス製品への速やかなアクセスを推進する新たな規制枠組みの制定をFDAに要請しており、FDAは2017年7月に「Digital Health Innovation Action Plan」を発表している。

個々の製品ではなくその製品を手掛けている企業自体を事前に認証することで、デジタル製品の迅速な上市を可能にする「Pre-Cert Program」はその柱となる取り組みである。

今回発表された一連のガイダンスも、「Digital Health Innovation Action Plan」の構成要素となる。

FDAはまず、臨床上の意思決定支援ソフトウェア(以下CDS)に関し、医療機器の範疇から除外されるケースを説明した2017年12月発表のガイダンス案を改訂し、CDSの機能に関するFDAの監視体制を明確化した。

例えば1型糖尿病の入院患者の術後心血管イベント発生リスクを評価するCDSや、機械学習ベースのアルゴリズムを用いたCDSなどのうち、患者の重篤あるいは重大な症状について医療従事者に知らせるが、その評価基準を説明していないCDSは、評価結果が誤っていた場合、それに基づく不適切な治療により患者が被害を受ける可能性がある。

このような高リスクのCDSについて、FDAは安全性と有効性の監視体制を強化する。

また、健康増進のための携帯アプリなど、特定のデジタルヘルス製品を医療機器とみなさず、FDAの規制対象外であることを明確化したガイダンスを最終化した。

21世紀治癒法は、安全性リスクが比較的低い医療用ソフトウェアを、従来の医療機器の分類から除外することを定めている。FDAは今回のガイダンス最終化にともない、医療ソフトウェアに関する既存のガイダンス4件にも変更を加えた。

FDAは、デジタルヘルス製品に対するリスクベースのアプローチを一段と明確に示すことにより、刻々と変化するデジタルヘルス分野のイノベーションを促進するとともに、患者の安全性確保に努めると述べた。

FDAはこれに先立つ9月23日には、医療機器開発研究のデザインや実施における患者エンゲージメントを促すため、製造企業への推奨事項をまとめたガイダンス案を発表している。

 

(了)


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