2019/07/23
米国eHealthジャーナル試読版
Express Scripts、デジタルヘルス・フォーミュラリー導入へ
デジタルセラピューティクス, 疾病管理・患者モニタリング, 医療機器
当初は糖尿病、心血管疾患、肺疾患、問題行動の予防と管理にフォーカス
薬剤給付管理会社(PBM)大手のExpress Scriptsは5月16日、2020年からデジタルヘルスのみを扱うデジタルヘルス・フォーミュラリーを導入すると発表した。
PBMとは、健康保険プランのカバレッジ(保険対象サービス)のうち、薬局に流通する処方箋医薬品に関する保険業務、すなわち薬剤給付管理を担う中間業者で、契約関係にある薬局に薬剤費を償還し、調剤手数料を支払う業務を行っている。
保険会社内部にある組織内PBMと、保険会社に雇われてサービスを提供する独立系PBMがある。Express Scriptsは、保険会社大手のCignaに買収され(取引は2018年12月に完了)、現在は組織内PBMとなっている。PBMの他の役割としては、製薬企業との価格交渉によるリベートの確保や、フォーミュラリーと呼ばれる医薬品リストの作成がよく知られている。
フォーミュラリーとは各保険プランごとに作成される医薬品リストで、保険で利用が可能か、またいくらの受給者負担で利用できるかが記載されている。米国の場合、FDA承認を受けた医薬品が、保険で利用可能かどうかは、各自が加入している保険プランによる。デジタルヘルス・フォーミュラリーの導入は、数あるデジタルヘルス製品について、まずはExpress Scriptsが目利きとなってくれることを意味するものでもある。
フォーミュラリーに掲載されるためには、臨床アウトカム、治療的価値、実際の使い勝手、セキュリティ・プライバシー標準、費用対効果といった様々なハードルをクリアしなければならない。Express Scriptsによると、当初は、糖尿病、心血管疾患、肺疾患、問題行動の予防と管理にフォーカスする。
Express Scriptsは、保険プランがデジタルヘルス・フォーミュラリーを利用するメリットとして、
1)臨床での利用と配備に向け客観的に精査されたデジタルヘルス製品を知ることができる。
2)デジタルヘルス企業と個々に契約を締結する負担がなくなる。
3)Express Scriptsの規模の経済により利用コストを下げることができる。
4)ますます増え続ける、処方箋を要するデジタルヘルス製品を適宜カバーしていく道筋ができる。
といった点を挙げている。
(了)
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