2022/03/15
臨床医が紹介する日本のスタートアップ技術 (第17回)
AIでいつどこでも必要な医療が受けられる世界を作るメドメイン(後編)
医療コミュニケーション支援, 画像技術, 診断・検査・予測, AI技術, 臨床医, 患者データ・疾病リスク分析
病理医の課題を病理AI解析ソリューション「PidPort」が解決する
前編では、メドメイン社が開発・提供している、病理AI解析ソリューション「PidPort」を紹介いたしました。同社は今年1月、乳腺非浸潤性乳管癌を病理組織デジタル標本より検出可能とした、病理AI開発に関する論文がSpringer Nature社のVirchows Archivに掲載される等、その技術が注目されているスタートアップです。そんなメドメイン社を創業した、代表の飯塚統氏にいくつか質問をさせていただきましたので、以下にお伝えいたします。
Q1. 御社が取り組む「課題」はどんなことでしょうか?
飯塚氏: 世界的な統計の中でも病気死因の上位カテゴリーを癌が占めており、多くの医療機関で、癌の診断を行うための病理診断の検査数は非常に多く、増加傾向にあるとされています。一方で、これらの診断を行う「病理医」は国内外において慢性的に不足しており、病理医が1人で診断を担っている医療機関も多く、労働負荷は非常に大きくなり、大きな地域格差も生まれています。また、多くの医療現場で病理診断を他院や検査センターに依頼している現状もあり、結果として、診断結果が出るまでの期間が長くなり、患者に負担がかかってしまう場合もあります。
そのような状況から、効率的で迅速な病理診断が実現できるワークフローの早急な整備が望まれており、こうした課題を解消するためのソリューションとして、病理標本のデジタル化を行うImaging Centerのサービス提供、デジタル病理画像をクラウド上で保管管理し、施設間での共有等で利活用するためのシステムとして「PidPort」の提供を行なっています。
Q2. 九州での起業が、大学設備の利用以外に何か影響を及ぼしていますか?
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