2022/04/08

コラム・ドクター心拍が思うこと 【第1回】

臨床医の日常から 【前編】

臨床医, テレヘルス

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(出所:Shutterstock)

コロナ禍で望まれたデジタルヘルス

こんにちは。ドクター心拍と申します。普段は日本のスタートアップ技術を紹介する記事を連載していますが、今回は医師の日常診療から感じることをお話したいと思います。

普段は呼吸器、感染症を専門として地域の基幹病院で診療を行っています。最近では第6波が猛威をふるい、第5波で経験した悲劇はもう起きないでほしいと思っていました。第6波は当初若年者の軽症例が多かった印象ですが、感染者が増加するにつれて高齢者の感染例が目立つようになり当然それに伴い中等症、重症患者も遅れて増加し、病床は満床となり、コロナだけでなく一般の診療についても制限する、正に医療崩壊を実感していました。

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そんなコロナ患者の診療をしていると、なるべく感染リスクを低減するため、検査は限定され、聴診なども必要に応じてという状況となります。コロナ禍が始まった当初はそれこそ未知のウイルスという脅威を感じていましたから、遠隔聴診器で直接聴診しなくても聴診できるようなデバイスを見て、これが普及したら良いなーと思ったりもしました。

オンライン診療もコロナ禍で規制が緩和されて一気に普及するだろうという予想が巷ではありましたが、残念ながら普及していません。一部のクリニックや自由診療クリニックで行われている程度で少なくとも私が知る周囲の医療機関や知人でもオンライン診療を行っているという話は聞いたことがありません。

もちろん普及しない理由としては、保険点数(診療報酬点数)の問題などもあり、積極的に導入するメリットが整備にかかる労力に比してそれほど感じないということもあるでしょう。そもそも私が勤務するような大きな病院では通院している患者さんの疾患や病状を考慮すると、オンライン診療ですべてがカバーできるようには決して思えません。問診、診察だけでなく多くは採血あるいは胸部X線やCTなどの画像検査を必要とする疾患だからです。

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それでも往診による診療では患者さんが自宅にいながら血液検査や超音波検査を行ったり、最近ではポータブルX線も開発されていたり、ということを考慮すると、それらが保険診療上労力に見合うかたちで整備されれば、将来的にはもう少しオンライン診療や遠隔医療なども進むかもしれませんね。

コロナ禍においては、病状が安定している患者さんの場合には、診察間隔を以前より空けたり、処方のみの外来などをおこなったりということも実際経験し、コロナ患者急増に伴い救急診療がストップして本来助かる命が助からなくなったりということも目の当たりにしました。そのような時こそ、デジタルヘルスの力で少しでも医療を助け、患者さんの救命に役立ってくれると良いなと思います。

(次回に続く)


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