2019/07/23

米国eHealthジャーナル試読版

FDA、TheranicaのNerivio Migraを承認

医療機器, 研究・調査, Theranica, 行政・規制ニュース

電子パルスで片頭痛を治療

イスラエル拠点のTheranicaは5月28日、同社がデノボ(de novo)申請*1 を行っていた「Nerivio Migra」がFDAから承認を受けたと発表した。

Nerivio Migraは、身体のある部位に与えた刺激によって別の部位の痛みが抑制される現象である「conditioned pain modulation(CPM)」を電子パルスで引き起こすことで片頭痛を治療する上腕装着型のウェアラブル。

ウェアラブルに搭載された生体適合性電極から流れる電子パルスをスマートフォンを使って制御する仕組みだ。

承認の根拠となったのは、252名が参加した多施設無作為化二重盲検プラセボ比較対照試験。

被験者は、「International Classification of Headache Disorders」基準が定義する片頭痛を月あたり2~8回経験する患者で、試験では、片頭痛が起きてから1時間以内にウェアラブルを30~45分上腕に装着して電子パルスで刺激を与えた。

電子パルスによる刺激は認識可能であるが、痛みを感じるようなレベルのものではない。

片頭痛の痛みのレベルは、ベースライン、治療2時間後、治療48時間後に計測した。結果、主要評価項目である痛みの緩和は、プラセボ群と比較してNerivio Migra装着群で、より高い比率で達成され、その有効性が示された。

この研究「Remote Electrical Neuromodulation (REN) Relieves Acute Migraine: A Randomized, Double‐Blind, Placebo‐Controlled, Multicenter Trial」は、5月9日付でThe Journal of Head and Face Painに掲載された。

電子パルスを利用した医療機器としては、4月に注意欠陥多動性障害(ADHD)治療を適応とするNeuroSigmaのMonarch eTNSシステムがFDA承認を受けている。

Monarch eTNSシステムは、三叉神経を刺激する在宅医療機器で、利用には医師の処方箋が必要となる(試読号第2号(2019年7月発行)記事「FDA、ADHD治療用医療機器を承認」を参照 )。

(了)


*1) 安全性のリスクが低~中程度で、実質的に同等な製品が存在しない革新的医療機器に対する承認経路


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