2022/07/26
米国eHealthジャーナル第69号
FDA、パーキンソン病患者の症状データ自動捕捉ソフトを承認
Rune Labs, パーキンソン病, ウェアラブル, 神経変性疾患, 医療機器, ジャーナル第69号, 行政・規制ニュース
Rune Labsのソフトウェア・エコシステム「StrivePD」
カリフォルニア州サンフランシスコ拠点のソフトウェア企業Rune Labsは6月13日、Appleのスマート・ウォッチ「Apple Watch」経由でパーキンソン病(PD)患者の症状データを自動収集する同社のソフトウェア・エコシステム「StrivePD」が510(k)申請経路でFDAから承認されたと発表した。
Rune Labsは2018年に設立されたスタートアップ企業で、2020年10月のシードラウンドで500万ドルを調達したのち、Eclipse Ventures が主導した2021年9月のシリーズA投資ラウンドで2,280万ドルを調達している。同社は今年5月、欧州市場への拡大を目指し、ポルトガルのリスボンにリード設計者のためのオフィスを構えたことを明らかにしている。
今回FDA承認を獲得したStrivePDは、運動障害データ収集のためのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)である「Movement Disorder API」を活用して、患者データをApple Watchから直接捕捉するモバイルアプリだ。Movement Disorder APIは、Appleのオープンソース・ソフトウェアフレームワークの「ResearchKit」で2018年から提供されている。ResearchKitは、Apple製デバイスに搭載された歩数計、心拍数センサー、加速度計、ジャイロスコープ、GPSなどを活用し、デバイス利用者のデータの遠隔収集を実行するアプリを、医療研究者やアプリ開発者が容易に構築できるよう支援するフレームワーク。オープンソースであるため、ソースコードはすべて公開され、ほかの者がそれを自由に利用して修正や改善を加えることができ、アプリ開発期間の短縮や効率化にもつながる。
StrivePDは、振戦(手のふるえ)やジスキネジアを自動で追跡し、PD患者の診察から次の診察までの間に起きた「経験」をケアチームと共有するのを可能にする。ジスキネジアとは、身体の一部または広範囲の筋肉が自分の意思とは関係なく不随意に収縮や運動を起こし、姿勢保持や動作が困難になる現象を指す。また患者は、StrivePDを利用して、医薬品の服薬状況や副作用、その他の症状をマニュアルで記録することも可能だ。StrivePD は、米医療機器大手Medtronicが販売する脳深部電気刺激デバイスとも連携している。
PD患者は治療薬を処方された後もその服用スケジュールを最適化するためにしばしば時間を要するが、今回の承認により、医師はこの時間を短縮できるという。Rune Labsでは、臨床試験でのStrivePD活用も視野に入れている。
(了)
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