2022/08/23
米国eHealthジャーナル第71号
FDA、慢性腎疾患の早期診断を助けるHealthy.ioの「Minuteful Kidney」を承認
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スマートフォンのカメラ機能を使った尿検査ホームキット
スマートフォン基盤の診断テストおよびデジタル創傷ケアの提供に特化するイスラエル拠点の Healthy.ioは7月12日、慢性腎疾患(CKD)の早期診断の一助となる家庭用の尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)診断テストである「Minuteful Kidney」が、510(k)申請経路でFDAから承認されたと発表した。Healthy.ioは、米国および英国でのビジネス展開に注力しており、米国ではマサチューセッツ州ボストンにオフィスを構えている。
尿中アルブミンは、糖尿病性腎症の早期発見のマーカーとして広く認識されている。Minuteful Kidneyホームキットには、検査試験紙、サンプル採取用のカップ、そして「変色」した検査試験紙の色味を判断するための色比較サンプルトレイが含まれている。患者は、検査試験紙を尿サンプルに浸し、尿中の成分に反応して「変色」した試験紙をサンプルトレイに設置して、スマートフォンで写真を撮影して送信する仕組みだ。
CDCによると、米国の成人の約15%はCKDを罹患しているが、多くの人々はその事実に気づいていない。Healthy.io の創設者兼CEOであるYonatan Adiri 氏は、Minuteful Kidneyについて「人工透析に移行するリスクの高い患者において、透析の可能性を劇的に減少させるという点でMinuteful KidneyはデジタルCKD予防剤として機能する」と話す。
Healthy.ioが510(k)申請経路でFDAから承認を獲得するのは今回が3回目となる。同社は2018年に、Minuteful Kidneyと同様の仕組みで、スマートフォンのカメラ機能を使った尿検査ホームキット「Dip.io」について最初のFDA承認を獲得した。Dip.ioの利用者は、腎疾患や尿路感染症などを自宅にいながら早期発見することが出来る。また2019年には、医療サービスプロバイダー向けのACR診断テストについて承認を獲得した。このACRテストは、iPhone 7を活用するもので、医療従事者や薬局が専用機器を購入することなくポイントオブケア検査を実行するのを可能にする。同ACRテストの承認獲得時にHealthy.ioは、将来的にホームキット版についてもFDA承認を目指す考えを明らかにしていた。
Healthy.ioは、コンピュータ・ビジョン技術における同社の専門性を活用して、スマートフォンを診断ツールとして活用するサービスの提供に特化しており、こういった診断テストのほかに、看護士によるクリニック内での利用を前提としたデジタル創傷管理ソリューションを提供している。看護士が創傷部位をスマートフォンでスキャンすると、イメージと色彩を認識するアルゴリズムが創傷部位を測定して3Dイメージを作製する。適切な創傷ケアの実施において重要となる、創傷部位の正確かつ継続的な測定について看護士のワークロードを削減するとともに、測定の精度を向上させることを意図している。
米国では、消費者直販(DTC)診断テスト市場が拡大している。急速な金融引き締めなどを背景として金融市場が減速するまでは、同分野へのベンチャー・キャピタル(VC)投資も活発だった。Healthy.ioは、2019年2月のシリーズB投資ラウンドで 1,800万ドルを調達し、その約半年後の9月に実施されたシリーズC投資ラウンドでは6,000万ドルを調達するなど、手元に潤沢な資金を有している。
DTC診断テストは、医師のオフィスや病院外来で実施されている従来のサービスに置き換わるものだ。またユーザーにとってDTC診断テストは、健康保険を利用しない新しい健康管理手法でもある。こういったDTC診断テストを開発する企業としては、LetsGetChecked やEverlyWellがあり、いずれもVCからのバックアップを受けている。
出典:Healthy.io
(了)
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