2022/09/27
米国eHealthジャーナル第73号
Biofourmis、シリーズD追加ラウンドで2,000万ドルを調達
ジャーナル第73号, Biofourmis, シンガポール, VC投資・M&A・決算, デジタルセラピューティクス, AI技術
Intelの戦略投資事業であるIntel Capitalが参画
デジタルセラピューティクス(DTx)やバーチャルケアの提供に特化するマサチューセッツ州ボストン拠点のデジタルヘルス企業、Biofourmisは8月10日、シリーズD追加ラウンドで2,000万ドルを調達したことを明らかにした。Biofourmisは4月のシリーズD投資ラウンドで3億ドルを調達しており、今回の追加ラウンドによってシリーズDでの総調達額が3億2,000万ドルとなった。追加ラウンドには、米チップメーカー大手、Intelの戦略投資事業であるIntel Capitalが参画した。Biofourmis の既存投資家の顔ぶれには、シンガポールの政府系投資企業EDBIやソフトバンク傘下のSoftBank Vision Fund 2、米国のヘルスケアコングロマリットCVS Healthなどが含まれる。
2015年11月にシンガポールで設立されたBiofourmisは、当初は心血管疾患分野におけるソフトウェアシステム開発に注力していたが、現在は癌や疼痛といったその他の疾患分野におけるDTxポートフォリオの拡大にも取り組んでおり、2019年には本拠地をボストンへと移した。
BiofourmisはシリーズDによってユニコーン企業に仲間入りを果たし、その評価額は13億ドルとなっている。企業買収にも積極的で、2019年11月にはバイオセンサー企業のBiovotion、2020年には腫瘍学領域に注力するデジタルヘルス企業のGaido Healthを買収している。
人工知能(AI)と機械学習を基盤とするBiofourmis独自のヘルスデータ分析エコシステムである「Biovitals Platform」は、2019年10月に510(k)申請経路でFDA承認を受けたSaMD(software as a medical device)で、患者の生理学的モニタリングとデータ分析を実行する。SaMDとは医療機器に分類される医療用ソフトウェア。Biovitals Platformの一部で、心不全患者のデータ分析に特化した「Biovitals HF」は、2021年7月にFDAから画期的医療機器指定を受けている。
出典:Biofourmis
Biovitals HFは、患者のモニタリングを実行し、医薬品投与量の最適化を図るのを支援する。2019年11月には、Biovitals HF についてスイスの製薬大手Novartisと提携し、Novartisの心不全治療薬、Entresto服用患者のデータ管理を支援している。Biofourmisはほかにも、AstraZenecaをはじめとする複数の大手製薬企業、およびMayo Clinicを含む10以上のヘルスシステムと提携している。2020年7月には、子宮内膜症に伴う痛みの評価法の確立を目的として中外製薬と提携したことを明らかにした。
Biofourmisは現在、製薬企業との提携を通じて医薬品の「価値」を高めるソフトウェアやDTxの開発に努めるDigital Medicine部門と、在宅で病院レベルのケアを実現しようとする「Hospital at Home」にフォーカスするCare@home部門の2部門体制でデジタル製品の開発を進めている。Care@home部門では、医療サービスプロバイダーが急性期治療からの患者の回復過程を遠隔からモニタリングするプラットフォームを提供している。
(了)
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