2022/10/25
米国eHealthジャーナル第75号
AMA、医師のデジタルヘルスツール使用状況を調査
デジタルヘルスツールに対する楽観の加速で採用が拡大
米国医師会(AMA)は9月13日、医師のデジタルヘルスツールの使用状況を調査した報告書「AMA digital health care 2022 study findings」をリリースした。デジタルヘルスツールが患者ケアに有益だと感じている医師が増加していることが明らかになった。
AMAは2016年7月から3年ごとに、1,300名の医師を対象として、デジタル臨床ツールの導入に関する動機と要件について調査を実施しており、デジタルヘルスに対する姿勢や、これらの技術を診療にどのように取り入れているかの経時的変化を見て取ることが出来る。
今回の調査では、回答者の44%が、患者ケアへのデジタルヘルス使用には明確な利点があると答えた。この比率は2019年には36%、2016年には31%だった。デジタルヘルスツールを活用することに何らかの利点、または明確な利点があると感じている医師の割合は2016年の85%から、2022年には93%に拡大した。
AMA会長のJack Resneck Jr.博士は声明で、「医師によるデジタルヘルスツールの導入率は、適切に設計されたデジタルヘルスツールが患者ケアにもたらす利点について、医師がますます楽観的となる中で加速している」と述べた。
この調査では、医師がより多くのツールを採用していることも明らかになった。医師が使用するツール数の平均は、2016年の2.2個から2022年には3.8個に増加した。採用率の経時的変化が最も大きかったのはバーチャルケアで、テレヘルスを利用する医師の割合は2016年の14%から2019年には28%に増加し、2022年には80%へと爆発的な増加を見せた。
一方、効率化のために遠隔モニタリング機器を使用していると答えた医師は、2016年の12%から2022年には30%に拡大、また、ケアの改善のために遠隔モニタリング・マネジメントを利用していると回答した医師は2016年の13%から2022年には34%となった。
AMAの調査では、臨床アウトカムと作業効率の改善が、医師のデジタルヘルスツールへの関心に影響を与える主要因であることが示唆された。また、ストレスや燃え尽き症候群を軽減することも、ここ数年で重要性が増しているという。デジタルヘルスツールを導入する理由として、ストレスや燃え尽き症候群の緩和がやや重要、または非常に重要と回答した医師の割合は2016年には66%だったが、2022年には76%に拡大した。
新興テクノロジーの現在の使用率はまだ低いものの、医師はこれらのツールの導入に関心があると回答している。拡張知能(Augmented Intelligence)を使用していると回答した医師は2022年時点では18%にとどまったが、39%が1年以内に採用を開始すると回答した。また、精密医療とデジタル・セラピューティクスを現在使用していると回答したのは11%のみだったが、30%は1年以内に精密医療、40%はデジタル・セラピューティクスの採用を開始すると回答した。
(了)
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