2023/01/10
米国eHealthジャーナル第80号
Teva、呼吸器疾患デジタルヘルス製品のアクセス拡大に向け提携
提携, 疾病管理・患者モニタリング, Propeller Health, Teva, テレヘルス, 呼吸器科/呼吸器系疾患, ジャーナル第80号, アドヒアランス
患者データに基づいた個別化バーチャルケアの提供へ
Teva Pharmaceuticals(以下、Teva)は11月14日、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む呼吸器疾患患者向けのスマート吸入器搭載デジタルヘルス・プラットフォームである「Digihaler」への患者アクセス拡大を目的として、フロリダ州マイアミを拠点とするデジタルヘルス・スタートアップ企業のHealthSnapと提携したと発表した。Tevaは、イスラエル拠点のジェネリック医薬品世界最大手、Teva Pharmaceutical Industriesの米国子会社。
HealthSnapは、慢性疾患患者を対象とする統合化バーチャルケアに特化しており、ヘルスケアサービスプロバイダーが複数の慢性疾患を抱える患者をバーチャルでケアするのを支援している。同社は現在、慢性疾患の種類を問わない遠隔患者モニタリング(RPM)や慢性ケア管理(CCM)プラットフォームを提供しているが、今回のTeva との提携により、呼吸器系疾患にも対象を拡大する。HealthSnapは、「Tevaとの提携により、弊社の呼吸器疾患患者へのリーチが拡大し、患者データに基づいた個別化バーチャルケアの提供が可能になる」と述べている。ヘルスケアサービスプロバイダーは、Digihalerが収集するデータを自身のネットワークで活用することにより、ワークフローの改善や、集団全体を対象として働きかけを行うポピュレーション・アプローチの進展も可能になるという。
出典:HealthSnap
Tevaが自社開発したDigihalerは、センサー内蔵のスマート薬剤吸入器とコンパニオン・スマートフォンアプリで構成されるプラットフォームで、センサーが薬剤吸入の強度や頻度、使用パターンなど、患者の吸入器利用状況を検出して自動的に利用回数や日時を記録し、連携するコンパニオンアプリを介して症状の管理や医師の個別化治療計画の策定を支援する仕組み。Digihalerは現在、「ProAir、一般名albuterol sulfate」、「ArmonAir、一般名fluticasone propionate」、「AirDuo、一般名fluticasone propionate and salmeterol」の3種の呼吸器疾患治療薬に利用されている。Tevaは、いずれの治療薬についてもDigihaler搭載の吸入器による利用について、FDAから承認を獲得している。
Digihalerと同様のプラットフォームとしては、デジタル・セラピューティクス(DTx)企業のPropeller Health(以下、Propeller)が提供するスマート薬剤吸入器システムがある。吸入器に搭載された内蔵センサーとコンパニオン・スマートフォンアプリで構成されるFDA承認獲得済みの同社の薬剤吸入器は、内蔵センサーが患者の吸入器利用を検出し、「パフ(吸入)」の回数と日時を自動的に記録する。Propellerのデジタルヘルス・プラットフォームは、英国の製薬大手AstraZenecaの呼吸器疾患治療薬「Symbicort」などで利用されている。
喘息患者の疾病コントロールの度合いと重篤度を評価する指標として「発作治療の回数」が採用されてきたが、これは、医師が患者に治療回数を尋ね、患者の記憶に基づく回数申告からコントロールの度合いを判断するという方法であり、正確とはいえない。PropellerやTevaが提供するスマート薬剤吸入器基盤のデジタルヘルス・プラットフォームは、内蔵センサーによる正確な利用状況の自動記録により、医師が、喘息症状のコントロールの度合いを判断するのを容易にする。
(了)
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