2023/01/10
米国eHealthジャーナル第80号
AEYE Healthの「AEYE-DS」、510(k)申請経路でFDA承認を取得
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糖尿病性網膜症を診断する自律型スクリーニングシステム
イスラエル拠点のスタートアップ企業AEYE Health(以下、AEYE)は11月15日、人工知能(AI)を基盤とする糖尿病性網膜症の自律型スクリーニング画像診断システム、「AEYE-DS」が510(k)申請経路でFDAから承認を受けたと発表した。AEYE-DSは、デスクトップ型網膜カメラ「Topcon NW-400」のデジタル画像から、AIが早期段階で糖尿病性網膜症を検出するシステム。現在はポータブル網膜カメラの利用も可能にするべく研究が進められており、この適応拡大が承認されれば、AEYE-DSはポータブル網膜カメラの利用が可能な唯一かつ初の自律型診断システムとなる。また、緑内障性視神経症(GON)の診断への適応拡大も目指しているという。
出典:AEYE
糖尿病性網膜症は糖尿病患者の最も一般的な失明原因であり、失明を防ぐための早期発見と治療が糖尿病管理において重要となる。しかし、糖尿病患者の約半数が眼科医による年1回の網膜症検査を受けていない。米国では3,500万人以上、世界では4億2,200万人以上の糖尿病患者が糖尿病性網膜症に罹患するリスクがあるとされており、また、40歳以上の糖尿病患者の85%が糖尿病性網膜症を発症すると推定されている。
自律型スクリーニングシステムとしてのAEYE-DSのFDA承認は、ピボタルフェーズIII試験での良好な結果が根拠となった。 試験で示されたAEYE-DSの感度は93%、特異度は91.4%だった。AEYEによると、このシステムは片眼につき1枚のデジタル画像しか必要としない初のソリューションで、これによってスクリーニングプロセスは1分間に短縮され、シームレスなプロセスと実用性の向上に寄与している。また、99%以上の患者で診断結果が得られ、診断完了のためにそれ以上の処置が必要となることはほとんどないという。AEYE-DSは、通常はアイケアに関与することのないプライマリケアでの糖尿病性網膜症スクリーニング支援を目的としている。
AEYEの取締役を務めるSean Ianchulev博士は、「自律型スクリーニング技術が人間の専門家を超える時が、ついに到来した」と声明で述べた。なお、AIを用いた糖尿病患者の網膜症スクリーニングサービスは、新規に割り当てられたCPTコード「92229(AI-diagnostic screening)」によって保険償還の対象となった。
FDAがAI技術を用いた自律型スクリーニング画像診断システムを承認するのは今回が初めてではない。最初の承認は2018年に、 Digital Diagnostics(以前の社名はIDx)の「IDx-DR」に付与された。IDx-DRは、プライマリケア医による糖尿病性網膜症の発見を補助することを目的とするも、承認審査は、実質的に同等な製品が存在しない、安全性リスクが低~中程度の革新的医療機器に対する承認経路であるデノボ(de novo)に基づき行われた。
出典:Digital Diagnostics
(了)
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