2023/01/10

米国eHealthジャーナル第80号

ヘルスケア・フィンテック企業の PayZen、2億2000万ドルを調達

VC投資・M&A・決算, ジャーナル第80号, PayZen

今すぐケアして後で支払うアフォーダビリティ・ファイナンスを拡大

カリフォルニア州サンフランシスコ拠点のヘルスケア・フィンテック企業、PayZenは11月22日、「アフォーダビリティ・ファイナンス」という新規カテゴリーの開拓と同分野におけるリーダー的地位の強化に向け、2億2,000万ドルを調達したと発表した。これは、2,000万ドル規模のエクイティ・ファイナンスと2億ドルのローン(クレジットファシリティ)により達成された。エクイティ・ファイナンスの主導は7wireVenturesが、クレジットファシリティの提供はViola Creditが行った。今回の資金調達は、PayZenが2021年に導入したアフォーダビリティ・ファイナンス・プラットフォームに対する業界の需要が大きく、かつ急速に高まっていることを反映するものだ。

2019年設立のスタートアップ企業であるPayZenは、ヘルスケアにおける「今すぐケアして後で支払う(care now, pay later)」モデルを売り物にしている。PayZenは患者の治療費を患者に代わって医療サービスプロバイダーに支払い、その後、人工知能(AI)を使用して、患者ごとに個別化されたPayZenへの支払いプランを作成する。金利や手数料は、最大で60カ月間免除される。同社は医療機関と提携し、同社のプラットフォームを医療機関の収益サイクル管理システムに組み込んでいる。昨年は、ペンシルバニア州ダンビルを拠点とする統合ヘルスケア・デリバリーサービス組織のGeisingerと提携したことを発表している。


出典:PayZen

米国の医療費は他の先進国と比較して高額であり、さらにその価格は毎年上昇を続けている。成人の約10人に1人が多額の医療負債を抱えていると言われ、医療負債は米国における自己破産の主な原因となっている。緊急の医療ニーズに対応するための現金を持たない人が非常に多く、この問題に対処できるソリューションの確立が急務になっている。PayZenのサービスの拡大によって、何百万人ものヘルスケアサービス消費者の財政面でのウェルビーイングを、直接的に大きく改善することが可能になる。

出典:PayZen

PayZenの共同創業者兼CEOであるItzik Cohen氏は、「今回の資金調達ラウンドの成功は、より手頃な医療費支払いオプションに対する計り知れないニーズの証しである。あまりにも多くの米国人が、手頃な支払い方法がないために、必要な治療を受けるのを遅らせたり見送ったりしているという現状がある。PayZenでは、この壊れたシステムの修復と手助けとなることを目指している」と述べた。

PayZenによると、同社は2021年11月に完了した1,500万ドル規模のシリーズA投資ラウンド以降、毎月売上を倍増しており、市場ニーズの拡大によってその成長軌道は今後も継続されるとの見通しだ。

(了)


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