2022/12/13

米国eHealthジャーナル第78号

GoodRx、ヘルスケア提供者向け新サービスを開始

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新サービスの活用による患者のオンライン登録でBiogenと提携

処方箋医薬品の価格情報を追跡してウェブサイト上で公開するGoodRxは10月13日、ヘルスケアサービス提供者向けのカスタム化ツール「Provider Mode」のサービス開始を発表した。GoodRxは、全米7万以上の小売薬局やメールオーダー薬局が取り扱う数千種類の処方箋医薬品について、保険なしで購入する場合の価格と、割引クーポンや薬局会員割引を使った場合の価格、メディケア受給者の価格、そして製薬企業が提供する割引情報などをウェブサイトで提供している。ウェブサイトは誰でも利用することが可能で、検索ボックスに医薬品名を入力するだけで、これらの情報にアクセス出来る。

Provider Modeは処方箋医薬品の節約方法をウェブサイトや携帯ブラウザで提供するもので、患者の診療中に医師や看護師、ヘルスケアオフィス職員が、患者の居住地域や患者に処方する医薬品の用量などの情報をインプットすると、最低価格で医薬品を提供する薬局を探し出す。割引クーポンはプリントアウトもしくはEメールやテキストメッセージ(SMS)を介して患者に提供される。

GoodRxによると、Provider Modeには同一クラス内の医薬品同士を比較するツールや、患者向けの医薬品情報、そして宅配を選択する機能が含まれている。「患者が薬局に到着してからではなく、ヘルスケアサービス提供者との診療の現場で医薬品のコスト削減の機会や関連情報を受けられるよう、ヘルスケアサービス提供者向けサービスを改善したいと考えた」とGoodRxのエクゼクティブ・メディカル・ディレクター、Preeti Parikh博士は述べた。

GoodRxは同日、米国のバイオテク大手Biogenが販売する「Vumerity」について、同薬を利用するためのプロセスをヘルスケアサービス提供者がProvider Modeを通じて行うのを可能にすることでBiogenと提携合意を結んだことも発表した。Vumerityは2019年10月にFDA承認を受けた再発型の多発性硬化症(MS)を適応症とするスペシャルティ医薬品。

ヘルスケアサービス提供者はしばしば、極めて高額なスペシャルティ医薬品へのアクセスを患者に提供するために、多大な書類作成のプロセスに追われる。このプロセスには時間を要し、また患者は医薬品を処方されるまでに最大で3 週間も待たされる場合があるという。Provider Modeには、新規の「デジタル登録」機能が含まれる。治療開始のために必要な患者情報をヘルスケアサービス提供者が「スペシャルティ・ハブ」にオンラインで直接送付するのを可能にすることで、治療開始までの時間を短縮し、FAXなど従来の手作業による方法で頻繁に発生していた文書ミスのリスクを大幅に軽減することを目的としている。スペシャルティ・ハブとは、スペシャルティ医薬品の流通を担う専門薬局(specialty pharmacy)と製薬企業の間に立ち、患者が適切なケアを受けるのを支援するとともに、製薬企業が一貫性のある患者体験を提供するのを支援する役割を果たしている。Biogenは、Provider Modeのこの新機能を活用する最初の製薬企業となる。

GoodRxは2020年9月に新規株式公開(IPO)を実施し、ナスダック・グローバル・セレクト・マーケットに上場している。GoodRxの収益源は、医薬品の割引クーポン提供や、ウェブサイトの広告スペース販売、オンラインバーチャル診療プログラムの「GoodRx Care」、処方箋医薬品を割引価格で購入できるサブスクリプションプログラムの「GoodRx Gold」など。GoodRx Careは、2019年9月に買収したテレヘルス企業HeyDoctorが基盤となっている。GoodRx Goldは、2018年にスタートしたプログラムで、サブスクリプション・フィーは個人メンバーが月額9.99ドル、家族メンバーが月額19.99ドルとなっている(2022年1月10日からの新価格。以前は個人が5.99ドル、家族が9.99ドルだった)。GoodRx Goldが取り扱う一般的な処方箋医薬品は1,000種類以上に及び、多くの医薬品が1カ月あたり10ドル以下で提供されている。

GoodRxは企業買収を通じたサービスの拡大に積極的に取り組んでおり、テレヘルス企業のHeyDoctorのほかに、2021年4月には競合企業のRxSaver、2022年3月には保険カバレッジ・ナビゲーションプラットフォームを手掛けるvitaCareを買収している。vitaCareは、ユーザーが加入する保険プランの薬剤給付サービス内容および選択可能な医薬品および自己負担額の情報をユーザーに提供するとともに、保険適応の可否などに関するペイヤーと医師間のやり取りを支援するツールとしても機能する。ある調査によると、患者の29%は、ペイヤーと医師間のコミュニケーションの問題に起因するプロセスの遅延により、処方箋医薬品の入手が遅れた経験を持つ。GoodRxは、患者の服薬順守を支援できると期待からvitaCareを買収した。

(了)


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