2023/01/24

米国eHealthジャーナル第81号

OURA、雇用主などをターゲットとしたウェルネスプログラム、「ŌURA For Business」をスタート

患者データ・疾病リスク分析, ウェルネス・運動療法, ウェアラブル, ジャーナル第81号, Oura Health

集団全体のアウトカムを改善するカスタムツールを提供

指輪型のヘルストラッカー「Oura Ring」を提供するOURAは12月1日、「ŌURA For Business」と呼ばれる、企業や団体、組織向けのウェルネスプログラムを発表した。ŌURA For Businessは、従業員、アスリート、軍人などのエンドユーザーを対象に、ベストインクラスのコネクテッド技術と個別化された洞察を提供するサービス。このサービスの購入者となる雇用主や軍隊などの組織には、集団全体のアウトカム改善に向けて、カスタムツールと個別化されたテーラーメイド推奨が提供される。

指輪型のOura Ringは、赤外線の照射により心拍数の変化をとらえる赤外線PPGセンサー、体温を正確に測定するNTCサーミスター、アクティビティスコアを測定する3D加速度計とジャイロスコープを備える。OURAによると、一般的なアクティビティ・トラッカーで採用されている緑色LEDセンサー基盤の光学系心拍計と比較して、同社の赤外線PPGセンサーはより正確な測定値を提供できる。Oura Ringは見た目は普通のチタン製のリングであるが、搭載された複数のセンサーによって、身に着けているだけで睡眠の質や量、深度を解析したり、歩数や無活動時間の測定、運動時のパフォーマンス解析などを行うこと可能だ。OURAによると、完全に充電されたリングは、平均で4~7日持続する(使用年数や特定の機能の使用によってバッテリー持続時間は変化する)。

OURAは2013年にフィンランドで設立されたデジタルヘルス・スタートアップで、現在はカリフォルニア州サンフランシスコにも拠点を構えている。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行はOURAにとって追い風となり、同社は2020年に大きな成功を収めた。同社は、Oura Ringが提供するさまざまな健康指標が、健康状態の早期把握にいかに役立つかを証明したことで、NBA(全米バスケットボール協会)、WNBA(全米女子バスケットボール協会)、World Surf League(世界プロサーフィン連盟)、F1レーシング・チームのRed Bull Racing、メジャーリーグ・ベースボールチームのSeattle Mariners、米国最大のモータースポーツ統括団体NASCARといった米国の大手スポーツ団体に採用され、注目を集めた。

ŌURA For Businessは既に、個人の健康を組織の成果へと結びつけるための洞察を提供する目的で、これまでに、米空軍、米海軍、米陸軍、NASAなどの連邦機関や、NASCAR、USA Surfingなどのスポーツ統括団体、University of VermontやClemson Universityといった学術機関を含む200以上の組織と提携している。Oura Ringに由来するユーザーデータを活用して集団レベルの洞察を明らかにすることで、バーンアウトや疲労、疾病罹患の有無、健康管理といった、個人の実生活に影響を与える要因に対処して、集団の健康アウトカムの改善に寄与するという。

OURAによるとŌURA For Businessを提供する組織は、Oura Ringが計測する3種類のスコア――活動(Activity)、レディネス(Readiness)、睡眠(Sleep)―――について匿名化されたメンバー(エンドユーザー)のデータにアクセスできる。組織は、メンバーにフォーカスしたコンテンツやガイダンスの提供を通じて、メンバーのウェルビーイングに対応することが可能となる。つまり、集団のウェルネスはŌURA For Businessによって、計測・対応・実現が可能なものに変容する。なお、組織レベルのプログラムへの参加はオプトインベースであり、その決断はエンドユーザーに委ねられている。

(了)


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