2023/07/25

米国eHealthジャーナル第92号

Hyro、シリーズB投資ラウンドで2,000万ドルを調達

VC投資・M&A・決算, OpenAI, Hyro, 医療コミュニケーション支援, ジャーナル第92号, AI技術

会話型AIを活用したヘルスケア分野向けのコールセンター

ヘルスケア分野にフォーカスした、プラグアンドプレイ機能を備えた会話型の人工知能(AI)を提供するHyroは5月31日、 Macquarie Capitalが主導したシリーズB資金調達ラウンドを完了し、2,000万ドルを集めたことを明らかにした。このラウンドには、Hyroの既存投資家であるHanaco Ventures、Spero Ventures、Mindset Venturesに加え、新規投資家としてLiberty Mutual Strategic Ventures、Black Opal Ventures、K20が加わった。ニューヨーク州ニューヨークを拠点とするHyroは、OpenAIが開発した大規模言語処理モデルであるChatGPTを利用して、医療サービスプロバイダー向けに患者対応のためのコールセンターサービスを提供している。また、患者との対話から得られた知見を基に、リアルタイムのアナリティクスも提供している。

2022年11月にリリースされたばかりのChatGPTは、ジェネレーティブAI(生成系AI)とよばれる次世代のAIで、ユーザーの質問や発言に対して人間のようなテキストを生成することができる。ジェネレーティブAIとは、コンテンツやモノについてデータから学習し、それを使用して創造的かつ実用的な、そして、まったく新規のオリジナルのアウトプットを生成する新規の機械学習手法。ChatGPTは、質問に対して驚くほど正確な解答を提供するだけでなく、詩を書いたり、与えられたあらゆるトピックに対応することが可能だ。

Hyroによると、ChatGPTを基盤とする同社のサービスは、大規模組織において患者やスタッフ向けデジタルサービスのアクセスを簡素化するとともに、業務効率の劇的な改善に寄与する。

Hyro(旧社名はAirbud)は2021年のシリーズA投資ラウンドでは1,050万ドルを調達しており、今回のラウンドも含めこれまでに3,500万ドルを調達している。 同社はシリーズA 投資ラウンド以降、フロリダ州に拠点を置くヘルスケアシステムであるBaptist Healthや、ヘルスケアシステム向けのデジタルヘルスマーケットプレイスであるPanda Healthと提携し、AIを活用したコミュニケーション技術を導入してきた。2020年のサービス開始以来、その年間経常収益は前年比100%超の成長を続けており、B to B(Hyro-医療機関)を介してリーチする3,000万人超の消費者に優れた会話体験を提供し、数千万ドルの業務費用削減を実現しているという。

Hyroでは、今回のシリーズBで調達した資金を利用して従業員数を増やし、AI基盤のコールセンター、モバイルやウェブサイト基盤のサービスを強化する予定だ。また、戦略的パートナーシップの締結と同社サービスの用途拡大を模索するという。

(了)


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