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オピオイドに代わる選択肢を若年層に提供
Innovative Health Solutions(以下IHS)は6月10日、11~18歳の若年者における炎症性腸疾患(IBS)関連の腹痛の軽減を適応症とした医療機器「IB-Stim」の510(k)申請がFDAから承認されたと発表した。
IBSは痙性結腸とも呼ばれ、腹部のけいれん、腹痛、膨満感、便秘、下痢等の症状を引き起こす一般的な腸の病気である。中高生507人の人口ベースの調査によると、思春期人口の6-14%にIBSの症状がある。IBSの正確な原因は不明であるが、要因として、腸内の筋肉収縮、神経系、食物によって引き起こされる腸内の重度の感染、ストレス、ホルモンなどが考えられている。IBSの痛みの軽減に一般的に利用されるオピオイドは中毒性の問題があるが、このIB-Stimの承認により、安全な選択肢が誕生した。
IB-Stimは、わずか5グラムと小型の、耳の後ろに装着するバッテリー内臓使い捨て電気神経刺激装置。疼痛に関連する耳周辺の脳神経束に低周波を送ることによって働く非外科的装置でIBSに関連する機能性腹痛の軽減に役立つ。
(出典)IB-STIM
承認の根拠となったのは、痛みに対するIB-Stimの有効性と安全性を検証した二重盲検プラセボ比較対照試験。試験では11~18歳のIBS患者50人を、IB-Stim治療群(27名)とプラセボ装置群(23名)に無作為に割り付け、治療後3週間時点でのベースラインからの痛みの変化を、「通常の痛み」と「最悪の痛み」のスコア、および「Pain Frequency Severity Duration (PFSD)」と呼ばれる、疼痛の複数の側面を評価する指標を使い比較した。
なおベースライン時点では、被験者は平均4種類の疼痛管理薬を服用していたが、その70%は効果がなく、IB-Stim群とプラセボ群の間で「最悪の痛み」のスコアに差はなかった。被験者らは、医療機器(IB-Stimおよびプラセボ)での治療と並行して、慢性疼痛管理薬の服用が認められていた。
結果、プラセボ群と比較してIB-Stim群で、「最悪の痛み」のスコアに大きな改善が確認された。 この効果は治療後1週目と2週目でも確認された。また、複合PFSDスコアについても、プラセボ群と比較してIB-Stim群でより大きな改善が示された。IB-Stim群では、被験者の52%が治療後3週間時点において「通常の痛み」が少なくとも30%減少、また「最悪の痛み」についても被験者の59%で少なくとも30%の減少が確認された。試験中、被験者の6名が軽い耳の不快感、3名が癒着性アレルギーを訴えた。
IB-Stimの利用には処方箋が必要となる。IB-Stim の使用には健康で、清潔で、無傷の皮膚表面が不可欠であるため、IB-Stimは、心臓ペースメーカーの利用者および血友病、尋常性乾癬の患者には使えない。詳しい効能と安全性の情報は、以下のIB-Stimについてのホームページ参照。(https://ibstim.com/)
FDAはこれまでにも、耳装着型の神経刺激装置を承認している。 FDAによると、2017年にオピオイド禁断症状の軽減を適応とする「NSS-2 BRIDGE」(HIS社)、また、2014年に鍼治療に使用する「Electro Auricular Device」(Navigant Consulting, Inc.社)を承認している。最近では、NeuroMetrix社のウエアラブルなスマートフォン適応の慢性疼痛緩和装置の改造版「Quell 2.0」が発売され、SPR Therapeutics社は、昨年夏、経皮的神経刺激治療装置に対し、510(k)の承認を得た。
(了)
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