2022/08/09
米国eHealthジャーナル第70号
FDA、「患者中心の医薬品開発」で第3弾ガイダンス案
目的に合致した臨床アウトカム評価の活用を支援
FDAは6月29日、「患者中心の医薬品開発(Patient-Focused Drug Development、以下PFDD)」の実現に向けた医薬品開発業界向けのガイダンス案、「Patient-Focused Drug Development: Selecting, Developing, or Modifying Fit-for Purpose Clinical Outcome Assessments」を発表した。同ガイダンス案においてFDAは、臨床試験における患者の「声」をデジタルヘルス技術(DHT)を通じて適切に捕捉できる可能性を指摘している。
2016年12月に成立した「21世紀治癒法(21st Century Cures Act)」は、PFDDの方法論に関して4部から成るガイダンスの発行をFDAに求めており、今回発表されたガイダンス案は3件目となる。FDAは、先に発表していた、意図した患者人口を適切に反映した患者経験データの収集方法に関する1件目のガイダンスである「PFDD: Collecting Comprehensive and Representative Input」を2020年6月に、また、治療や病状に関連して患者の抱える負担を考慮し、患者にとって最も重要な事項を特定するためのアプローチに関する2件目のガイダンス「PFDD: Methods to Identify What Is Important to Patients」を2022年2月に最終化している。
今回のガイダンス案は、目的に合致した臨床アウトカム評価(COA)の選択と調整、開発実証のためのアプローチに関するもの。製薬企業がさまざまなCOAを臨床試験に活用することを支援する。
FDAはガイダンス案で、COAデータには患者報告アウトカム(PRO)、医療者が評価したアウトカム(ClinRO)、パフォーマンスアウトカム(PerfO)、介護者が評価したアウトカム(ObsRO)の4種類があると説明。これら以外の代理人によるアウトカム評価は好ましくないと述べた。また、DHTの急速な進歩に触れ、DHTの活用が臨床試験のCOAにおいて有用な可能性があると述べた。臨床試験でのeCOA(電子臨床アウトカム評価)の採用は増加の一途をたどっており、FDAは2021年12月には、臨床試験参加者のデータを遠隔収集するためのDHT利用についてガイダンス案を発表している。
今回FDAは、臨床試験で使用するCOAの決定プロセスについて、1)疾病の自然史や患者サブポピュレーションのほか、患者やケア提供者の視点、さまざまなヘルスケア専門家の見解を反映した疾患および病状についての理解、2)その理解を踏まえた臨床ベネフィットとリスクの概念化、3)COAの選択、の3段階のプロセスを説明した。
概念化については、患者群で異なる症状や疾病関連行動、気分などの中から、標的とする健康上の概念を特定し、それに対応するCOAによるスコアリングへと落とし込む手法を解説。また、COAの選択においては、どの種類のCOAが適切か、既存のCOAがそのまま使用可能か、既存のCOAに調整が必要か、あるいは新規COAの開発が必要かを見極める必要性に言及した。FDAは9月29日まで一般から意見を募集する。
(了)
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