2022/11/04
ヘルスケアの現場から考えるデジタルヘルス(第8回)
糖尿病と生活習慣管理の課題に切り込む、シンクヘルス【前編】
ウェルネス・運動療法, デジタルセラピューティクス, 医療コミュニケーション支援, 医療機器, ウェアラブル, 疾病管理・患者モニタリング, 日本, 臨床医
生活習慣と日常診療の連携に強いサービス
糖尿病の治療には食事や運動など生活習慣の改善が必要不可欠です。しかしながら日々の生活に追われ、自己管理は二の次、そして次第に症状が悪化の傾向をたどる、という患者も少なくありません。また、医療機関側も、血圧手帳や血糖測定表などはまだまだ手書きで管理しているケースが多く、食事・運動・服薬状況の正確な把握は難しいのが現状です。
近年、スマートフォンを用いたアプリにより、生活習慣を記録するPersonal Health Record(以下PHR)と日々の糖尿病診療の連動により、生活習慣の改善に介入する試みが増加しています。2022年に行われた、第65回日本糖尿病学会1) では、PHRやIoTをテーマにしたポスターセッションも組まれており、PHRを用いた糖尿病治療は、これからより多くのエビデンスの蓄積が期待されると考えられます。
そこで今回は、糖尿病を中心とした慢性疾患、生活習慣病予備群(未病層)に対する健康課題を解決することを目的とした、健康サポートアプリ「シンクヘルス」と、医療機関で管理可能なクラウドサービス「シンクヘルスプラットフォーム」について紹介します。
血糖値・インスリン投与量も管理可能
「シンクヘルス」は日本・台湾など世界全体で95万人の利用者がおり、国内では約32万人が利用しているPHRアプリです。血圧・体重・血糖値などの日々の測定データや食事・運動・お薬などの日常生活の記録が可能なアプリは他にもありますが、シンクヘルスは糖尿病患者の「血糖値の推移」、「インスリン投与のタイミング・単位数」についても記録が可能です。さらに医療機関においては「シンクヘルスプラットフォーム」を導入することにより、患者さんが「シンクヘルス」で入力したデータがクラウドで共有され、いつでも閲覧できるようになります。食事や運動記録も連携されるため、これまで手書きの自己管理ノート*1 を見ながら、患者さんの生活を想像しながら栄養指導や診療を行なっていた状況から、より患者さんと密度の濃い関わりが可能となります。
連携機器が多く、より便利に
「シンクヘルス」は、対応可能な機器が非常に多いです。インスリンを用いた治療をしている患者さんは、血糖測定を毎日1回〜4回行います。医療機関からは血糖測定器が貸与されますが、「シンクヘルス」では10種類以上の血糖測定器と連携ができる機器となっております。さらに対応可能な血圧計や体重計も多いのも特徴です。
さらにFitbit®︎やAppleヘルスケア®︎、Google Fit®︎との連携も可能となっているので、心拍数、睡眠、運動を含むフィットネスデータと血糖値との関連について、これ一つで関連性を紐づけることができます。2) 運動や睡眠などについては、日常診療では患者さん本人から直接聞くことしかできないため、「生活活動と血糖値の関連性」についてより説得力のあるデータを患者さんと共有できることが期待できます。これまで、それぞれのデバイスに対応したアプリで管理されていた個々のデータが、「シンクヘルス」によって統合され、医療機関では、「シンクヘルスプラットフォーム」からリアルタイムで管理することが可能になるのです。
次回は「シンクヘルス」による血糖管理で、より専門的な連携が可能な点ついてご紹介します。
(次回へ続く)
【注釈】
*1 自己管理ノート
日本糖尿病協会 https://www.nittokyo.or.jp/modules/information/index.php?content_id=147
【出典】
1) 第65回日本糖尿病学会 https://site.convention.co.jp/65jds/
2) H2株式会社 「シンクヘルスとつながる!連携可能機器のご紹介」https://www.health2sync.com/ja/company/wp-content/uploads/how-to-sync-meter-app.pdf
- H2株式会社 ウェブサイト https://www.health2sync.com/ja/company/
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