2023/02/14

米国eHealthジャーナル第82号

Anumana、Pfizerと複数年の提携契約を締結

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心アミロイドーシスの早期発見を可能にするAI心電図アルゴリズムの開発で

人工知能(AI)を基盤とした心電図(ECG)アルゴリズムの開発に特化するAnumanaは12月15日、心アミロイドーシスの早期発見を可能にするAI心電図アルゴリズム(AI-ECG)の開発を目的として、米製薬大手のPfizerと複数年の提携契約を締結したと発表した。本取引の金銭面での詳細は非公開。Pfizerは、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)野生型および変異型の成人患者の治療を適応とした初の医薬品として、2019年5月にVyndaqel(一般名tafamidis meglumine)とVyndamax(一般名tafamidis)の2剤についてFDAから承認を獲得している。

Anumanaは、ミネソタ州ローチェスターを拠点とする非営利アカデミック医療センターのMayo Clinicとマサチューセッツ州ケンブリッジ拠点のソフトウェア開発企業nferenceが2021年4月に設立した合弁企業。nferenceは、医療機関と提携することで、電子医療記録(EHR)データを強力なAI基盤ソフトウェアソリューションへと変容させることに特化している。Anumanaは、nferenceのAI機能とMayo Clinicが擁する医療データを駆使して心臓病の検出をはじめとするデジタルセンサー診断の構築を目的に設立された。5月には、肺高血圧症の早期発見を目的としたAI-ECGについてFDAから画期的医療機器指定を取得した。

合意の下Anumanaは、AI-ECGの臨床試験を実施し、医療機器としてのソフトウェア(SaMD)として開発を進め、デノボ(de novo)申請経路でFDA承認を目指す。欧州および日本での承認取得も目指しているという。

Mayo Clinicの循環器科主任で、Anumanaの顧問委員会会長を務めるPaul Friedman博士は、「AI-ECGソリューションは、人間では感知できないECGのパターンを医師に警告することで、深刻な疾患の早期発見を可能にする。これは、患者トリアージとケアのスピードを改善することにつながり、心アミロイドーシスの人々の生活を改善することとなる」と声明で述べた。


出典:Mayo Clinic

Anumanaは7月には、「隠れた心血管疾患」を検出するためのAI-ECGの開発と提供を目的として、スイスの製薬大手であるNovartisと提携している。Novartisとの提携でAnumanaは、Mayo Clinicの専門家と協力し、心不全の前兆である左心室機能障害または心臓ポンプ機能低下の兆候、また動脈壁の肥厚化により心臓発作や脳梗塞リスクをもたらすアテローム性動脈硬化症について、ECGデータを分析して検知できるようAIを訓練する。さらに、回避可能な入院や心血管死リスクの低減を目的に、エビデンスに基づくデジタル・ポイントオブケア・ソリューションを開発するという。Novartisは、ブロックバスター医薬品である心不全治療薬のEntrestoを保有している。

(了)


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