2023/05/09
米国eHealthジャーナル第87号
Cognito Therapeutics、シリーズB資金調達ラウンドで7,300万ドルを調達
ジャーナル第87号, 神経変性疾患, 認知症, VC投資・M&A・決算, Cognito
神経変性疾患を治療する非侵襲的ニューロモジュレーション
中枢神経系(CNS)疾患の治療を適応とする医療機器の開発に注力するマサチューセッツ州ケンブリッジ拠点のニューロテクノロジー企業であるCognito Therapeutics(以下、Cognito)は3月22日、FoundersX Venturesが主導したシリーズB資金調達ラウンドで7,300万ドルを調達したと発表した。同ラウンドには、Cognitoの全ての既存投資家と、新たにAlzheimer's Drug Discovery Foundation(ADDF)、Starbloom Capital、IAG Capital、WS Investment Company(シリコンバレーの法律事務所Wilson Sonsiniのベンチャー・キャピタル部門)が加わった。Cognitoによると、今回の資金調達により同社創業以来の調達総額は9,300万ドルに達した。
今回の資金調達にあわせて、医療機器大手Medtronicの元シニア・バイスプレジデント兼チーフ・メディカル・サイエンティフィック・オフィサーで、Medtronicでは神経調節事業の統括を担ったRick Kuntz博士と、FoundersXの創業者兼マネージングパートナーのHelen Liang氏がCognitoの取締役に就任する。
Cognitoは、アルツハイマー病などの神経変性疾患の治療を目的に非侵襲的な神経調節を利用するニューロモジュレーション・デバイスの開発を行っている。ガンマ周波数帯域の光と音による感覚刺激を用いることで、記憶の機能に関与するとされるガンマ振動の喚起を目指す同デバイスは、ともにMassachusetts Institute of Technology(MIT)教授で同社の科学創設者であるLi-Huei Tsai博士とEd Boyden博士によって開発された。Cognitoは2021年1月に、同デバイスについてFDAから画期的医療機器指定を獲得している。2021年3月には、軽度から中等度のアルツハイマー病患者を対象としたフェーズII臨床試験において、同デバイスの利用により統計的に有意な記憶・認知機能低下の遅延が示されたこと、また、治療6ヶ月間で有意な脳萎縮の減少が示されたことを報告している。
Cognitoでは、今回調達した資金を、ニューロモジュレーション・デバイスのさらなる研究と開発に充てる。具体的には、アルツハイマー病に対する本デバイスの治療有効性をさらに実証するための「HOPE」と呼ばれるピボタル試験に向けて、現在、米国内の約50の臨床センターにおいて500人の患者を登録中だ。
Cognito のCEOであるBrent Vaughan氏は、「今回の資金調達により、患者が自宅で利用可能なウェアラブルデバイスの開発が加速される。このデバイスは、アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患の治療において、安全性が高く疾患修飾性のある新規治療アプローチとなる可能性を秘めている」と声明で述べた。
出典:BusinessWire
(了)
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